2003年ノーベル経済学賞

受賞理由

経済時系列データにおける変動性の時間依存性(ARCH)と共通トレンド(共積分)を分析する統計的手法の確立

受賞者

ロバート・エングル

アメリカ合衆国アメリカ合衆国

クライヴ・グレンジャー
クライヴ・グレンジャー

イギリスイギリス

解説

おこづかい帳のように、毎日変わる数字の列を「時系列」といいます。エングルさんとグレンジャーさんは、この数字の動きかたを上手に調べる方法を考えました。大きく動いた次の日も大きく動きやすい、という“ゆれ”のくせを見つけたり、遠い先では一緒に進む仲良しの線を探したりします。これによって、お金の世界で明日や来月に何が起こりやすいかを予想できるようになりました。銀行や会社は、この予想を使って安全にお金を動かせます。わたしたちの生活も、安心して貯金や投資ができるようになるのです。

関連キーワード

ARCHモデル

自己回帰条件付き分散モデル。誤差項の分散が過去の誤差の大きさに依存するという仮定を置き、クラスター化するボラティリティを定式化する。金融リスク計測やオプション評価に広く用いられる。

GARCHモデル

ARCHを一般化し、条件付き分散を過去の分散と誤差の双方で説明するモデル。少ないパラメータで長い記憶を表現でき、株価や為替のボラティリティ予測で標準的に利用される。

共積分

非定常系列同士の線形結合が定常となる性質。長期均衡と短期乖離を同時に扱えるため、マクロ経済や国際金融の実証研究で中心的概念となる。

誤差修正モデル

共積分系列の短期調整過程を表す動学方程式。乖離の大きさに比例して修正速度が決まり、経済理論上の復元力を数量化できる。

ボラティリティ・クラスタリング

大きな価格変動が連続して起こり、小さな変動も連続して起こる現象。ARCH/GARCHが捉える中心的スタイラスティックファクトであり、リスク管理に影響する。

非定常時系列

平均や分散が時間とともに変化する系列。伝統的回帰を適用すると“まやかしの回帰”を引き起こすため、単位根検定や共積分分析が必要となる。

Value at Risk

一定信頼水準での最大損失額を示すリスク指標。GARCHによる条件付き分散推定がVAR計算の主要手順としてバーゼル規制に採用されている。

単位根検定

非定常性を判定する統計検定。ADFやPP検定が代表的で、共積分分析の前提条件を確認するために用いられる。