2012年ノーベル経済学賞
受賞理由
安定配分理論と市場設計の実践に関する功績
受賞者
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国
解説
人と人、あるいは人とモノをうまく組み合わせることを「マッチング」といいます。たとえば、病院で働く新人のお医者さんをどの病院に送るか、子どもがどの学校に通うかを決めるときに使われます。ロスさんとシャープレーさんは、だれもが“交換したい”と思わなくなる組み合わせを見つける特別な方法を考え出しました。この方法があれば、あとから「やっぱりこっちがいい」と困る人が出てこないのです。いまでは、病院実習先の決定や腎臓移植の相手探しなどに広く使われ、多くの人を助けています。
関連キーワード
安定マッチング
blocking pair(互いに今より好ましい相手を見つけたペア)が存在しない組み合わせ。誰もが現状を受け入れ、再交渉のインセンティブが消えるため、制度として持続可能になる。
ギャル=シャープレー・アルゴリズム
1962年にデイヴィッド・ゲイルとロイド・シャープレーが提案した繰延受容手続。提案側が順位順に申し込み、受領側は暫定的に最良案を保持して他を拒否する操作を繰り返すだけで、有限ステップで安定マッチングに到達する。
市場設計
経済学の理論と計算手法を用いてルールを設計し、望ましい資源配分を実現する研究分野。マッチング市場、オークション、プラットフォーム設計などが対象であり、近年の政策応用が活発である。
二面マッチング市場
労働者と企業、学生と学校のように2種類のエージェントが相互に相手を選ぶ市場。価格だけでは解決できないため、メカニズム設計の対象となる。
レジデント・マッチング・プログラム
米国の医学生を研修病院に配属する集中マッチング制度。1950年代に導入され、1997年からロスらの改良アルゴリズムを採用している。
繰延受容
提案を即時確定せず一時保留し、より良い提案が来るかを待つルール。これにより局所的な最適化ではなく全体として安定な解へと収束する。
戦略的操作不能性
参加者が真の選好を報告することが最善になる性質。機構が戦略的歪みを最小化し、公平性や効率性を守る鍵となる。
腎臓交換
血液型や組織適合性が合わない提供者・患者ペア同士が臓器を交換する制度。マッチング理論で最適な交換サイクルやチェーンを決定し、移植機会を拡大する。
コア
協力ゲームにおいて、任意の連立したグループが現在の配分より有利な提案を作れない集合。安定性の強い概念で、安定マッチングはコアに含まれる。
トップトレーディングサイクル
家や学校席のように初期保有がある財の再配分を行うアルゴリズム。各参加者が最も欲しい財に矢印を向け、サイクルができたらその中で交換を確定する。腎臓交換では複数ペアの同時手術計画に応用される。