1946年ノーベル生理学・医学賞
受賞理由
X線照射による突然変異体発生の発見
受賞者
ハーマン・J・マラー
アメリカ合衆国
解説
わたしたちの体には「遺伝子」という設計図が入っています。ハーマン・J・マラーは小さなハエ(ショウジョウバエ)にX線という強い光を当てると、その設計図が書き換わり、子どもに新しい特徴が現れることを見つけました。これは、絵本の文章を光で照らして字を変えてしまうようなものです。この発見によって、強い光や放射線に気をつけなければならない理由がわかり、新しい品種づくりにも役立つようになりました。
関連キーワード
突然変異
生物のDNA配列に生じる恒常的な変化。形質の多様性や病気の原因となり、進化や品種改良の原動力でもある。マラーは放射線が突然変異を大幅に増加させることを実証した。
X線
波長0.01〜10ナノメートルの高エネルギー電磁波。医療画像診断や材料検査に用いられるが、高線量ではDNA損傷を引き起こす。マラーの研究対象となった放射線源。
変異原
遺伝物質に変化を起こす物理的・化学的要因。放射線、紫外線、化学薬品が代表例。マラーの成果によりX線は強力な変異原として分類された。
ショウジョウバエ
遺伝学研究のモデル生物。世代時間が短く、染色体が観察しやすいため、突然変異の検出に最適。マラーは本種を用いてX線誘発変異を測定した。
線量応答関係
被ばく線量と生物影響(突然変異頻度)の関係を示す概念。マラーはほぼ直線的な比例関係を報告し、線量限度の設定根拠となった。
放射線育種
作物の種子や苗を放射線にさらし、有用な突然変異を選抜して新品種を作る技術。マラーの発見が応用された代表例。
放射線障害
高エネルギー粒子や電磁波による生体組織の損傷。急性障害からがんまで多岐にわたる。遺伝的影響のメカニズム解明にマラーの研究が貢献した。
発がん性
正常細胞ががん細胞へ変化する過程。DNA突然変異の蓄積が主要因とされ、放射線誘発がん研究はマラーの成果に強く依存している。