1960年ノーベル生理学・医学賞
受賞理由
後天的免疫寛容の発見
受賞者
オーストラリア
イギリス
解説
私たちの体には、病気の原因となるばい菌をやっつける「免疫」という仕組みがあります。でも免疫が強すぎると、他の人からもらった大切な臓器まで攻撃してしまいます。バーネットさんとメダワーさんは、体にとって「大丈夫なもの」を覚えさせれば、免疫の攻撃を止められることを実験で確かめました。これは「免疫が仲良しになる」しくみで、移植手術を成功させるカギになりました。今では多くの患者さんがこの考えで命を救われています。
関連キーワード
免疫寛容
免疫系が特定の抗原に対して攻撃反応を示さない状態。自己抗原に対する寛容は健康維持の必須条件であり、後天的に誘導されれば移植片の長期生着を可能にする。中央(胸腺)と末梢で異なるメカニズムが働き、Treg細胞やアネルギー状態も重要な役割を担う。
移植片拒絶反応
ドナー組織に含まれる抗原をレシピエントの免疫系が認識し、破壊してしまう現象。急性拒絶ではT細胞依存性、慢性拒絶では血管新生や線維化が関与する。寛容が成立すれば拒絶反応を抑制でき、免疫抑制剤の減量も可能となる。
骨髄移植
造血幹細胞を患者に輸注し、血液系を再構築する治療法。免疫寛容の概念はドナーとレシピエントの混合キメラ形成に応用され、固形臓器移植でも注目される。GVHDの制御と免疫再構築の均衡が臨床成績を左右する。
自己と非自己の識別
免疫系が自分自身の細胞を攻撃せず、外来病原体だけを排除できる能力。寛容機構の破綻は自己免疫疾患につながり、過度の抑制は感染症やがんのリスクを上げる。クローン選択説がこの識別メカニズムの理論的支柱となった。
胸腺教育
T細胞が胸腺内で自己抗原と接触し、強く反応するクローンが除去(ネガティブセレクション)される過程。中心性免疫寛容の中枢的イベントであり、AIRE遺伝子などが自己抗原提示を担う。欠陥があると多臓器自己免疫症候群が発生する。