2014年ノーベル生理学・医学賞

受賞理由

脳内の空間認知システムを構成する細胞の発見

受賞者

ジョン・オキーフ
ジョン・オキーフ

アメリカ合衆国アメリカ合衆国, イギリスイギリス

マイブリット・モーセル
マイブリット・モーセル

ノルウェーノルウェー

エドバルド・モーセル
エドバルド・モーセル

ノルウェーノルウェー

解説

私たちが迷わず家へ帰れるのは、脳の中に“地図”を作ってくれる細胞があるおかげです。オキーフさんはネズミを観察して、この地図で“ここだよ”と教えてくれる「プレース細胞」を見つけました。モーセル夫妻は、その地図に“方眼紙の目盛り”のような場所を示す「グリッド細胞」も発見しました。この二つが協力して、私たちはどこにいるかを感じたり道順を覚えたりできます。もし細胞が壊れると、道に迷いやすくなることも分かってきました。

関連キーワード

プレース細胞

海馬に存在し、動物が特定の場所にいる時だけ発火する神経細胞。複数のプレース細胞の活動パターンが脳内の“地図”を形成する。

グリッド細胞

内側嗅内皮質で発見された細胞で、発火場所が正六角形格子状に分布する。距離と方向の計算に用いられる内部座標系を提供する。

海馬

大脳辺縁系の一部で、学習や記憶、特に空間記憶に重要。プレース細胞が集中している。

内側嗅内皮質

海馬への主要入力部位で、グリッド細胞や頭方位細胞、境界細胞など空間符号化ニューロンが集まる。

認知地図

生物が環境内の位置関係を頭の中で表現する内的地図の概念。プレース細胞とグリッド細胞がその神経基盤と考えられる。

頭方位細胞

頭が特定の方向を向いた時にのみ発火するニューロン。コンパスのように方向情報を提供する。

境界細胞

空間の壁や縁に沿って発火する細胞で、環境の境界を検出しプレース細胞の形成を助ける。

シータ位相前進

プレース細胞やグリッド細胞がシータ波の周期中で発火位相を徐々に早める現象。時間符号化と経路予測に関与するとされる。

パスインテグレーション

自己運動情報を統合して現在位置を推定する計算。グリッド細胞ネットワークが中心的役割を担う。

アルツハイマー病

記憶障害を特徴とする神経変性疾患。海馬‐嗅内皮質経路が初期段階で損なわれ、空間認知障害が生じる。