ACM A・M・チューリング賞

この賞は1966年に初めて授与され、コンピュータ科学の発展に寄与した研究者や技術者に贈られる。受賞者には100万米ドルの賞金が授与され、受賞講演(Turing Lecture)の発表が求められる。名称はコンピュータ科学の父とされるアラン・チューリングに由来し、その功績を記念して命名された。2007年から2013年まではIntelとGoogleの支援により25万ドルが追加され、2014年以降はGoogleの支援で賞金が100万ドルに引き上げられた。受賞者の選定はACMの委員会が行い、毎年約1名または共同受賞者が決定される。2024年の受賞者はアンドリュー・バルトとリチャード・サットンである。

79

受賞者数

1966

初回授与

毎年3月

発表時期

計算機機械学会 (ACM)

授与団体

年度別の賞一覧

計算機科学分野における永続的で重要な技術的貢献

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歴史

1966年に最初の受賞者アラン・パーリスへ授与されたのが始まりである。賞の名称はアラン・チューリングを称えて命名され、彼の業績を後世に伝える意味を持つ。1970年代から1980年代にかけて、マービン・ミンスキーやドナルド・クヌースら著名な研究者が受賞し、賞の権威が確立された。2007年には賞金に25万ドルの追加支援が入り、2014年からはGoogleの支援で賞金が100万ドルに引き上げられた。受賞者にはTuring Lectureで講演する機会が与えられ、講演録はCommunications of the ACMに掲載される伝統がある。

2024

2024年ACM A・M・チューリング賞

強化学習の概念的およびアルゴリズム的基礎の開発に対して。

アンドリュー・バルト
リチャード・サットン
リチャード・サットン

2023

2023年ACM A・M・チューリング賞

計算におけるランダム性の役割についての理解の再構築、および理論コンピューターサイエンスにおける数十年にわたる知的リーダーシップに対して。

アヴィ・ヴィグダーソン
アヴィ・ヴィグダーソン

2022

2022年ACM A・M・チューリング賞

イーサネットの発明と標準化、実用化に対して。

ロバート・メトカーフ
ロバート・メトカーフ

2021

2021年ACM A・M・チューリング賞

直近40年間におけるハードウェアの指数関数的な進歩に対応するための高性能計算ソフトウェアを可能にした数値アルゴリズムとライブラリに対して。

ジャック・ドンガラ
ジャック・ドンガラ

2020

2020年ACM A・M・チューリング賞

プログラミング言語の実装のアルゴリズムと理論の基礎を構築し、何世代にもわたってコンピュータ科学者を教育した大きな影響力を持つ書籍の出版において、これらの成果などを統合したことに対して。

アルフレッド・エイホ
ジェフリー・ウルマン

2019

2019年ACM A・M・チューリング賞

3次元コンピュータグラフィックスへの基礎的貢献と、この技術が映画製作やその他のアプリケーションにおけるComputer Generated Imagery(CGI) に革命的な影響を与えたことに対して。

エドウィン・キャットマル
エドウィン・キャットマル
パット・ハンラハン
パット・ハンラハン

2018

2018年ACM A・M・チューリング賞

ディープニューラルネットワークをコンピューティングにおける重要な要素にした概念的および技術的な躍進に対して。

ヨシュア・ベンジオ
ヨシュア・ベンジオ
ジェフリー・ヒントン
ジェフリー・ヒントン
ヤン・ルカン
ヤン・ルカン

2017

2017年ACM A・M・チューリング賞

マイクロプロセッサ産業の衝撃に耐えられるように、組織的で定量的な方法を用いてコンピュータ・アーキテクチャの設計と評価を行ったことに対して。

ジョン・ヘネシー
ジョン・ヘネシー
デイビッド・パターソン
デイビッド・パターソン

2016

2016年ACM A・M・チューリング賞

World Wide Web、最初のWebブラウザ、そして Web が今の規模となるための基本的なプロトコルとアルゴリズムを発明したことに対して。

ティム・バーナーズ=リー
ティム・バーナーズ=リー

2015

2015年ACM A・M・チューリング賞

現代の暗号技術への基本的な貢献について。Diffie と Hellman の画期的な 1976 年の論文 "New Directions in Cryptography" は、公開鍵暗号とデジタル署名のアイデアを紹介したもので、今日のインターネット上で最も一般的に使用されているセキュリティプロトコルの基礎となっている。

マーティン・ヘルマン
マーティン・ヘルマン
ホイットフィールド・ディフィー
ホイットフィールド・ディフィー

2014

2014年ACM A・M・チューリング賞

現代のデータベースシステムの基本となる概念と実用に対する基礎的な貢献に対して。

マイケル・ストーンブレーカー
マイケル・ストーンブレーカー

2013

2013年ACM A・M・チューリング賞

特に、因果関係や論理クロック、安全性や活性度、複製されたステートマシン、逐次一貫性などの概念の発明など、分散システムや並行システムの理論と実践への基礎的な貢献に対して。

レスリー・ランポート
レスリー・ランポート

2012

2012年ACM A・M・チューリング賞

暗号の科学のために複雑性理論の基礎を築き、その過程で複雑性理論における数学的証明を効率的に検証するための新しい方法を開拓した変革的な業績に対して。

シルビオ・ミカリ
シルビオ・ミカリ
シャフィ・ゴールドワッサー
シャフィ・ゴールドワッサー

2011

2011年ACM A・M・チューリング賞

確率的および因果的推論の算法を発展させたことによる人工知能への基礎的貢献に対して。

ジューディア・パール
ジューディア・パール

2010

2010年ACM A・M・チューリング賞

probably approximately correct (PAC) 学習の理論、列挙と代数計算の複雑さ、並列分散コンピューティングの理論など、計算理論への革新的貢献に対して。

レスリー・ヴァリアント
レスリー・ヴァリアント

2009

2009年ACM A・M・チューリング賞

最初の近代的なパーソナルコンピュータであるXerox Altoの先駆的な設計と実現、さらにイーサネットとタブレットPCへの貢献に対して。

チャック・サッカー
チャック・サッカー

2008

2008年ACM A・M・チューリング賞

プログラミング言語とシステム設計の実用的・理論的基礎、特にデータ抽象化、フォールトトレランス、分散コンピューティングへの貢献に対して。

バーバラ・リスコフ
バーバラ・リスコフ

2007

2007年ACM A・M・チューリング賞

ハードウェア・ソフトウェア産業において広く採用されているモデル検査を極めて効果的な検査技術に発達させた役割に対して。

エドムンド・クラーク
エドムンド・クラーク
アレン・エマーソン
ジョセフ・シファキス
ジョセフ・シファキス

2006

2006年ACM A・M・チューリング賞

現代の最適化コンパイラ(en:Optimizing compiler) と自動並列実行(en:Automatic parallelization) の基礎を築いた最適化コンパイラ技術の理論と実践への先駆的な貢献に対して。

フランシス・E・アレン
フランシス・E・アレン

2005

2005年ACM A・M・チューリング賞

プログラミング言語の設計とALGOL 60の定義、コンパイラの設計、コンピュータプログラミングの技術と実践への基礎的な貢献に対して。

ピーター・ナウア
ピーター・ナウア

2004

2004年ACM A・M・チューリング賞

インターネットの基本通信プロトコルであるTCP/IPの開発と実装を含むインターネットワーキングにおける先駆的貢献とネットワーク全般でのリーダーシップに対して。

ヴィントン・サーフ
ヴィントン・サーフ
ロバート・カーン
ロバート・カーン

2003

2003年ACM A・M・チューリング賞

Smalltalkの開発チームを指導し、現代のオブジェクト指向プログラミングの元となる多くの考えを開拓したことに対して、また、パーソナルコンピューティングへの基礎的貢献に対して。

アラン・ケイ
アラン・ケイ

2002

2002年ACM A・M・チューリング賞

公開鍵暗号の実用化(RSA暗号)における独創的な貢献に対して。

ロナルド・リベスト
ロナルド・リベスト
アディ・シャミア
アディ・シャミア
レオナルド・エーデルマン
レオナルド・エーデルマン

2001

2001年ACM A・M・チューリング賞

プログラミング言語Simula I と Simula 67 の設計を通してオブジェクト指向プログラミングの基本的なアイデアを生み出したことに対して。

オルヨハン・ダール
クリステン・ニガード
クリステン・ニガード

2000

2000年ACM A・M・チューリング賞

計算複雑性理論に基づく擬似乱数、暗号理論、通信複雑性などの計算理論への基本的貢献に対して。

アンドリュー・チーチー・ヤオ
アンドリュー・チーチー・ヤオ

1999

1999年ACM A・M・チューリング賞

コンピュータ・アーキテクチャ、オペレーティングシステム、ソフトウェア工学に対する貢献に対して。

フレデリック・ブルックス
フレデリック・ブルックス

1998

1998年ACM A・M・チューリング賞

データベースおよびトランザクション処理に関する独創的な研究とシステム実装についての技術的リーダーシップに対して。

ジム・グレイ
ジム・グレイ

1997

1997年ACM A・M・チューリング賞

対話型コンピューティングの未来を切り開き、それを現実化するのに鍵となる技術を発明したことに対して。

ダグラス・エンゲルバート
ダグラス・エンゲルバート

1996

1996年ACM A・M・チューリング賞

計算機科学に時相論理を導入した独創的業績とプログラムやシステムの検証への多大な貢献に対して。

アミール・プヌーリ
アミール・プヌーリ

1995

1995年ACM A・M・チューリング賞

計算複雑性理論の基礎的研究とその暗号およびプログラム検証への応用に関する貢献に対して。

マヌエル・ブラム
マヌエル・ブラム

1994

1994年ACM A・M・チューリング賞

先駆的な大規模人工知能システムの設計と開発および、人工知能技術の実用性と潜在的価値を広く知らしめたことに対して。

エドワード・ファイゲンバウム
エドワード・ファイゲンバウム
ラジ・レディ
ラジ・レディ

1993

1993年ACM A・M・チューリング賞

計算複雑性理論の分野を確立した独創的な論文に対して。

ユリス・ハルトマニス
ユリス・ハルトマニス
リチャード・スターンズ
リチャード・スターンズ

1992

1992年ACM A・M・チューリング賞

分散型のパーソナルコンピューティングの環境の発展とそれを実装するための技術(ワークステーション、ネットワーク、オペレーティングシステム、プログラミングシステム、ディスプレイ、セキュリティ、文書作成)への貢献に対して。

バトラー・ランプソン
バトラー・ランプソン

1991

1991年ACM A・M・チューリング賞

3つの明確で完全な業績に対して。1) LCF、Scottの計算可能関数論理の機械化、機械支援証明構築のためのおそらく最初の理論に基づいた実用的なツール、2) ML、多相型推論と型安全な例外処理機構を含む最初の言語、3) CCS、同時実行の一般的な理論。さらに、完全抽象化、すなわち、操作的意味論と叙述的意味論の関係の研究を定式化し、強力に推進した。

ロビン・ミルナー

1990

1990年ACM A・M・チューリング賞

CTSSやMulticsといった汎用で大規模なタイムシェアリング・リソース共有型コンピュータシステムの概念を構築し、開発を導いた先駆的業績に対して

フェルナンド・J・コルバト
フェルナンド・J・コルバト

1989

1989年ACM A・M・チューリング賞

数値解析への基礎的貢献に対して。浮動小数点計算における最前線の専門家であり、カハンは「数値計算にとって安全な世界を作ること」に専念した。

ウィリアム・カハン
ウィリアム・カハン

1988

1988年ACM A・M・チューリング賞

Sketchpadに始まり、その後も続いた、コンピュータグラフィックスにおける先駆的で先見性のある貢献に対して。

アイバン・サザランド
アイバン・サザランド

1987

1987年ACM A・M・チューリング賞

コンパイラの開発と理論、大規模システムのアーキテクチャ、RISCの開発における多大なる貢献に対して。

ジョン・コック

1986

1986年ACM A・M・チューリング賞

アルゴリズムとデータ構造の設計と分析における基本的貢献に対して。

ジョン・ホップクロフト
ジョン・ホップクロフト
ロバート・タージャン
ロバート・タージャン

1985

1985年ACM A・M・チューリング賞

ネットワークフローや組合せ最適化問題に関する効率的アルゴリズムの開発、アルゴリズムの効率を判断する基準となる多項式時間の識別など計算理論に関する長年の貢献と、特にNP完全理論への貢献に対して。理論上でも実際上でも与えられた問題の計算複雑度を識別してNP完全かどうかを証明するための方法論はカープが導入し、今日では一般化している。

リチャード・カープ
リチャード・カープ

1984

1984年ACM A・M・チューリング賞

EULER,ALGOL-W, MODULA,Pascalといった革新的なコンピュータ言語の開発に対して。

ニクラウス・ヴィルト
ニクラウス・ヴィルト

1983

1983年ACM A・M・チューリング賞

汎用オペレーティングシステム理論の発展への貢献、特にUNIXオペレーティングシステムの実装に対して。

ケン・トンプソン
ケン・トンプソン
デニス・リッチー
デニス・リッチー

1982

1982年ACM A・M・チューリング賞

重要かつ意義深い方法で我々の計算複雑性への理解を高めさせた貢献に対して。

スティーブン・クック
スティーブン・クック

1981

1981年ACM A・M・チューリング賞

データベース管理システム、特に関係データベースの理論と実用における基本的貢献に対して。

エドガー・F・コッド

1980

1980年ACM A・M・チューリング賞

プログラミング言語の定義と設計に対する基礎的な貢献に対して。

アントニー・ホーア
アントニー・ホーア

1979

1979年ACM A・M・チューリング賞

APLに代表される数学的記法とプログラミング言語理論への貢献に対して。

ケネス・アイバーソン
ケネス・アイバーソン

1978

1978年ACM A・M・チューリング賞

効率的で信頼性の高いソフトウェアを生み出す方法論に明確な影響を与えたこと、また、解析理論、プログラミング言語の意味論、プログラムの自動検証、プログラムの自動合成、アルゴリズムの解析など、コンピュータサイエンスの重要な分野の発見への貢献に対して。

ロバート・フロイド

1977

1977年ACM A・M・チューリング賞

特にFORTRANの研究によって行われた、実用的な高水準プログラミングシステムの設計への深く影響力のある恒久的貢献、およびプログラミング言語仕様の形式的手法に関する画期的な出版に対して。

ジョン・バッカス
ジョン・バッカス

1976

1976年ACM A・M・チューリング賞

彼らの共作論文 "Finite Automata and Their Decision Problem" (有限状態機械とその決定性問題) に対して。その論文は非決定性マシンという非常に貴重な概念を導入し、この分野の後続の者たちに絶えずインスピレーションを与えた。

マイケル・ラビン
マイケル・ラビン
デイナ・スコット
デイナ・スコット

1975

1975年ACM A・M・チューリング賞

RAND 社の J. C. Shaw との共同研究を皮切りに、カーネギーメロン大学の多くの教員や学生との共同研究で、人工知能、人間の認知心理学、リスト処理の分野での基礎的な貢献に対して。

アレン・ニューウェル
ハーバート・サイモン
ハーバート・サイモン

1974

1974年ACM A・M・チューリング賞

アルゴリズムの解析やプログラミング言語の設計に大きく貢献し、特に ”The Art of Computer Programming” に貢献したことに対して。

ドナルド・クヌース
ドナルド・クヌース

1973

1973年ACM A・M・チューリング賞

データベース技術への多大なる貢献に対して。

チャールズ・バックマン
チャールズ・バックマン

1972

1972年ACM A・M・チューリング賞

明快さと数学的厳密さのモデルとなった高レベルのプログラミング言語 ALGOL の開発への貢献、およびプログラミング言語全般の構造・表現・実装の理解への多大な貢献に対して。

エドガー・ダイクストラ
エドガー・ダイクストラ

1971

1971年ACM A・M・チューリング賞

マッカーシーの講演 "The Present State of Research on Artificial Intelligence" (人工知能研究の現状) は、彼の業績で高い評価を得た

ジョン・マッカーシー
ジョン・マッカーシー

1970

1970年ACM A・M・チューリング賞

高速なデジタルコンピュータを利用した数値解析に関する研究と線形代数と誤差解析の処理に関する深い洞察に対して。

ジェームズ・H・ウィルキンソン

1969

1969年ACM A・M・チューリング賞

人工知能分野の創造、形成、促進、発展における中心的な役割に対して

マービン・ミンスキー
マービン・ミンスキー

1968

1968年ACM A・M・チューリング賞

数値解析、自動プログラミング、誤り検出と誤り訂正符号における業績に対して

リチャード・ハミング

1967

1967年ACM A・M・チューリング賞

世界初のプログラム内蔵方式のコンピュータであるEDSACの開発者として最もよく知られている。1949年に作られたとき、EDSAC は水銀遅延記憶装置を使用していた。さらに、1951年に Wheeler, Gill とともに出版した "Preparation of Programs for Electronic Digital Computers" の著者としても知られており、プログラムライブラリを効果的に紹介した。

モーリス・ウィルクス
モーリス・ウィルクス

1966

1966年ACM A・M・チューリング賞

高度なコンピュータプログラミング技法とコンパイラ構築の分野への貢献に対して。

アラン・パリス