1987年ノーベル経済学賞

受賞理由

経済成長理論への貢献

受賞者

ロバート・ソロー
ロバート・ソロー

アメリカ合衆国アメリカ合衆国

解説

私たちの暮らしが豊かになると、町には新しい学校や道路ができ、お店も増えます。ソローさんは「どうして国は豊かになるのか」を数で確かめる研究をしました。お金(資本)を工場などに使うことと、働く人の数が増えること、そして新しいアイデアが生まれることが大切だと教えてくれました。これらがうまく合わさると、みんなの生活が少しずつ良くなると説明しました。ソローさんの式は世界中の教科書にのっていて、国を強くするヒントになっています。私たちが毎日使うスマートフォンも、新しいアイデアが経済成長を支えている良い例です。

関連キーワード

経済成長理論

国の所得や産出量が時間とともにどのように拡大するかを説明する学問分野で、マクロ経済学の主要領域の一つ。資本蓄積・労働人口・技術進歩などの要因をモデル化し、長期的な繁栄と貧困の原因を分析する。政策立案では減税・教育投資・イノベーション支援の効果を定量評価する際の基盤を提供する。ソローの業績は理論の標準形を確立し、その後の内生的成長理論への橋渡しを行った。今日でもOECDやIMFの長期シナリオ作成で必ず参照される。

ソロー・スワンモデル

1956年と同年に独立に発表されたソローとスワンの論文で提示されたネオクラシカル成長モデル。収穫逓減と外生的技術進歩を前提に、貯蓄率・人口成長率・減価償却率が定常状態の資本ストックを規定する。均衡への収束速度を示すことで「収束仮説」を検定する実証研究の基礎を提供した。経済政策の効果を水準成長と成長率に分けて評価できる利点がある。大学院レベルのマクロ経済学テキストでは必ず扱われる古典的モデルとなっている。

技術進歩

新しい発明やより効率的な生産方法が導入され、生産物を同じ資源でより多く作れるようになる現象。ソロー・モデルでは外生的に与えられ、長期成長率を決定する主要変数とみなされる。ICT革命のような大規模イノベーションは全要素生産性を大きく押し上げることが示されている。内生的成長理論ではR&D投資や知識スピルオーバーを通じて技術進歩を内部で説明する。実証分析ではソロー残差や特許統計が代理変数として使われる。

資本深化

労働者一人あたりの資本(機械・設備)が増加すること。短期的には生産量と所得を押し上げるが、収穫逓減のため効果はしだいに弱まる。ソロー・モデルでは高い貯蓄率や対外投資の流入により資本深化が進むが、技術進歩がなければ成長率はやがてゼロに近づく。開発途上国がインフラや工場建設を急増させても、技術移転が伴わないと中所得の罠に陥る危険がある。国際機関は資本深化と教育・技術政策を組み合わせた包括的支援を推奨している。

定常状態

経済成長モデルで資本ストックや産出量の1人当たり変数が一定の水準に落ち着く長期均衡を指す。ここでは貯蓄由来の投資が、減価償却と人口増による資本希薄化を正確に相殺する。技術が外生的に成長する場合、定常状態でも産出量は同じ速度で伸びるため“バランス成長経路”と呼ばれる。政策ショックや人口変動があっても、経済は時間とともにこの均衡に収束すると理論は予測する。実証研究では収束速度やβ収束を推定し、国際データでモデルの妥当性が検証されている。