1999年ノーベル経済学賞

受賞理由

さまざまな通貨体制における金融・財政政策(「マンデル・フレミング・モデル」)と、「最適通貨圏」についての分析

受賞者

ロバート・マンデル
ロバート・マンデル

カナダカナダ

解説

世界にはいろいろなお金があり、その価値は毎日少しずつ動きます。ロバート・マンデルさんは「国がお金のルールをどう決めると、景気がよくなるのかな」と考えました。国の銀行が金利を動かす金融政策と、政府が税金や支出を変える財政政策を組み合わせて、分かりやすい表で示しました。たとえば外国とのお金のやりとりが多い国では、金利をどうするかが特に大事だと教えてくれました。さらに、いくつかの国が同じ通貨を使うときに必要な条件も整理し、ユーロのような共通通貨づくりに役立ちました。私たちが使うお金のしくみを理解しやすくしてくれた研究です。

関連キーワード

マンデル・フレミング・モデル

IS-LMに国際収支曲線を加えた開放経済マクロモデル。為替制度と資本移動条件に応じて金融政策と財政政策の波及効果を視覚化できる。

最適通貨圏

複数国が同一通貨を共有するのに望ましい条件を示す概念。労働移動や財政移転などの調整メカニズムが十分なら為替レートを放棄する便益がコストを上回るとされる。

為替レート制度

通貨の対外価値をどのように決定・維持するかを示すルール。固定相場、変動相場、管理フロートなどがあり、政策の自由度に影響を与える。

資本移動の自由化

国内外の金融資産を自由に売買できる度合い。高いほど資金が金利差を瞬時に埋めるため、金融政策の波及経路が変化する。

金融政策

中央銀行が金利やマネーサプライを調整して景気や物価を安定させる手段。開放経済では為替レートとの相互作用が鍵となる。

財政政策

政府が歳出・歳入を操作して経済活動に影響を与える方法。為替制度によって乗数効果が大きく異なることをマンデルは示した。

トリレンマ(不可能の三位一体)

固定相場、資本移動自由、独立した金融政策の三つを同時に満たすことは不可能という命題。各国は三つのうち二つしか選べない。

ユーロ導入

1999年に始まった欧州単一通貨。マンデルの理論が制度設計や加盟基準に大きく影響した例として知られる。