2000年ノーベル経済学賞
受賞理由
ミクロ計量経済学において、個人と家計の消費行動を統計的に分析する理論と手法の構築
受賞者
ジェームズ・ヘックマン
アメリカ合衆国
ダニエル・マクファデン
アメリカ合衆国
解説
人は「働くか休むか」「バスに乗るか車に乗るか」など、毎日いろいろな選択をします。ヘックマンさんとマクファデンさんは、このような選択がどんな理由で決まるのかを数で調べる方法を作りました。例えば、家のお小遣いの額が変わると買い物のしかたはどう変わるのか、コンピューターを使って予想できるようにしたのです。そのおかげで国や町は、人びとの暮らしを良くするためのルールやサービスをよりうまく考えられるようになりました。
関連キーワード
ミクロ計量経済学
個人・家計・企業といったミクロ単位のデータを用い、経済理論の仮説を統計的に検証する学際分野。データ特性として離散アウトカム、検閲、パネル構造などが多く、高度な推定技術が要求される。
選択バイアス
観測データが母集団を無作為に代表していないために推定結果が歪む現象。就業者に限定した賃金データなどが典型例で、因果推論に深刻な影響を与える。
ヘックマン補正
2段階推定で選択バイアスを補正する方法。まず参加確率をプロビットで推定し、逆ミルズ比を主要回帰に追加して誤差の相関を調整する。
離散選択モデル
有限個の選択肢から個体が最適な代替を選ぶ過程を記述する確率モデル。交通手段選択、製品需要分析、居住地選択など多様な応用を持つ。
条件付きロジットモデル
マクファデンが導出した多項ロジットの拡張で、選択肢特有の属性(料金、所要時間など)を説明変数に含められる。IIA 性質を持ち計算が容易。
自己選択
サンプルに含まれるかどうかを調査対象者自身が決定する状況。教育達成や治療参加などに見られ、因果効果の推定を難しくする。
パネルデータ
同じ観測対象を複数期追跡したデータ構造。個体固定効果の統制や動学的行動の分析を可能にするが、計算負荷が高い場合が多い。