2024年ノーベル平和賞

受賞理由

「核兵器のない世界の実現に長年にわたって努力し、核兵器が二度と使われてはならないことを証言を通じて示してきた」こと、また「並外れた努力が核のタブーの確立に大きく貢献した」ことに対して

受賞者

日本原水爆被害者団体協議会

日本日本

解説

日本原水爆被害者団体協議会(にほんげんすいばくひがいしゃだんたいきょうぎかい)、通称「原水爆被害者団体」は、原子爆弾で苦しんだ人たちが力を合わせて、世界から核兵器をなくそうと活動している団体です。おじいさん・おばあさんたちは、自分が体験した爆弾のこわさや苦しさを世界中の人に話し、二度と同じことが起きないようにお願いしています。その長い努力が認められて、2024年のノーベル平和賞を受賞しました。賞は、みんなで平和を守ることの大切さを伝えています。

関連キーワード

核兵器

核分裂または核融合反応により膨大な爆発力を発生させる兵器。わずかな質量がエネルギーに変換されるため、都市全体を壊滅させる能力を持つ。熱線・爆風・放射線という三重の被害をもたらし、長期的には放射性降下物が環境と人体に深刻な影響を与える。核抑止論では安全保障の道具とみなされるが、人道面からは非合法化を求める声が強い。

被爆者

1945年の広島・長崎原爆で直接被曝した人、救護作業などで放射線を浴びた人、及び胎内被曝児を指す。多くが癌や白血病、白内障など長期的健康被害に苦しんでいる。彼らの証言は核兵器の非人道性を示す一次資料として国際社会で重視される。Hibakushaは平和教育や国際会議での発言を通じ、核軍縮の道徳的根拠を提供する存在となっている。

核のタブー

核兵器を実際に使用することが政治的・道徳的に強く忌避される国際規範。1945年以降、一度も実戦使用されていない事実を支える概念で、社会構成主義国際関係論では重要なケーススタディとされる。被爆者証言や市民運動は、このタブーを強固にする要因と分析される。近年、核抑止政策の強化や新型兵器開発がタブーを揺るがしているとの懸念がある。

軍備縮小

国家が保有する兵器や兵員を削減・廃棄すること。核軍縮はその一形態で、数量の削減だけでなく完全廃絶を目指す動きもある。軍備管理(arms control)と対比され、後者が使用条件や安全装置の規制を目的とするのに対し、軍備縮小は兵器そのものをなくすことを追求する。

核拡散防止条約

1970年発効。核保有国を5か国に限定し、非保有国の新規開発を禁止しつつ、平和利用と軍縮交渉を規定した国際条約。延長・運用検討会議(Review Conference)では核軍縮義務履行をめぐり緊張が続く。被団協はNPT会議にNGOとして参加し、被爆証言を通じてより迅速な軍縮を訴えてきた。

被爆証言

被爆者が爆心地での光景、身体的被害、差別、後遺症などを語る個人的記録。口述、映像、書籍として保存され、教育・外交の場で活用される。専門家は証言データを質的研究の資料として分析し、社会記憶の形成過程を探究している。

核兵器禁止条約

2017年国連で採択、2021年発効。核兵器の開発・保有・使用・威嚇を全面的に禁止する初の多国間条約で、被害者援助と環境修復義務も規定。批准国は核保有国を含まないが、国際規範構築の大きな一歩と評価される。被団協は条約採択に向けICANと協働し、被爆者の声を条文に反映させた。

市民社会運動

政府以外の市民やNGOが主体となって政策に影響を及ぼす活動の総称。被団協は被爆者を中心とする日本発の市民社会運動であり、国境を越えて連携を広げた例として研究される。インターネット時代にはSNSによる署名拡散やオンライン証言会が活動手法を拡張している。