1923年ノーベル化学賞

受賞理由

有機化合物の微量分析法の開発

受賞者

フリッツ・プレーグル
フリッツ・プレーグル

オーストリアオーストリア

解説

フリッツ・プレーグルさんは、消しゴムのかけらほどの小さな試料からでも「中に何がどれくらい入っているか」を調べられる道具とやり方を作りました。それまでは両手いっぱいの量を燃やしたり溶かしたりしなければ成分が分からなかったので、とても大きな進歩でした。プレーグルさんは豆粒より小さい試料を超精密なはかりで測り、特殊なガラス管で燃やして気体を集め、数を計算する方法を考えました。このおかげで高価な薬草や珍しい生き物を無駄にせずに研究できるようになりました。小さな秘密を見つける虫めがねのような発明が評価され、プレーグルさんはノーベル化学賞を受け取りました。

関連キーワード

微量分析

数ミリグラム以下の試料から元素組成や化学量を測定する分析技術。試料の入手が難しい天然物や医薬品原料の解析に不可欠であり、質量分析・X線分析など現代の高感度手法の先駆けとなった。プレーグルは装置の小型化と計量精度の両立を図り、微量分析を化学の標準操作へと押し上げた。

燃焼分析

有機物を酸素中で完全燃焼させ、生成する CO₂・H₂O・N₂ などを定量して元素比を算出する方法。19世紀のリービッヒ法を土台とするが、プレーグルは触媒とマイクロチューブ導入により検出限界を大幅に下げた。現在の自動 CHN アナライザーでも基本原理は同一である。

マイクロバランス

0.01 ミリグラム以下の質量差を測定できる超高感度天秤。試料量や吸収剤の増減を正確に読み取ることで、微量分析の精度を支える。プレーグルの研究以後、磁気浮上式や石英結晶型など多様な方式が開発され、ナノ材料計量にも応用されている。

有機化合物

炭素を骨格とし、水素・酸素・窒素などを含む化学物質の総称。医薬品・香料・プラスチックなど多彩な応用を持つが、19世紀までは組成確定が難しかった。微量分析の登場により、わずかな抽出量でも分子式を決定でき、構造有機化学の発展を促進した。

元素組成

物質がどの元素を、どれだけ含んでいるかを示す比率やパーセント値。正確な元素組成は化学構造推定や反応収支計算の基礎データとなる。プレーグルの技術は微量試料でも信頼できる組成値を与え、未知化合物の同定を飛躍的に容易にした。

医薬品研究

病気を治療・予防する化合物の探索と設計を行う学際領域。希少な天然物や高価な中間体を扱うため、微量分析による正確な組成確認が不可欠となる。プレーグル法は新薬候補の品質管理を可能とし、近代製薬産業の分析基盤を築いた。

定量分析

試料中の成分量を数値で示す化学分析の一分野。重量法・容量法・機器分析など多様な手法があり、微量分析はその極小試料版と言える。プレーグルは質量差の読み取りと化学吸収剤の選択を精緻に組み合わせ、μg オーダーでも再現性の高い定量を達成した。