1936年ノーベル化学賞
受賞理由
双極子モーメントおよび気体中のX線・電子線回折による分子構造の研究
受賞者
オランダ
解説
水やアンモニアなどの分子は、プラスとマイナスの電気が少しだけ離れているため、小さな磁石のように向きを持っています。この向きを示す数字を「双極子モーメント」と呼びます。デバイさんは電場をかけて分子がどのくらいクルッと回るかを測り、その数字を求めました。また、見えない分子にX線や電子のビームを当て、跳ね返り方を調べて“影絵”のように形を描き出しました。こうして、目に見えない分子の形や電気的な性質を世界ではじめて詳しく明らかにしたのです。
関連キーワード
双極子モーメント
分子内で正電荷と負電荷がどれだけ離れているかを示す物理量。極性や分子間相互作用の強さを決める鍵となる。
誘電率
物質が電場を蓄える能力を表す値。液体の誘電率から双極子モーメントを推定するデバイ方程式がよく使われる。
X線回折
X線を物質に当て散乱パターンを解析して原子配列を決定する手法。気体分子にも応用され構造化学を発展させた。
電子線回折
波として振る舞う高速電子を用い、短波長ゆえに高分解能で分子構造を測定する方法。デバイは気体分子への初期応用を主導した。
極性分子
永久双極子モーメントを持つ分子。水やHClなどが代表例で、溶解性や反応性に大きく影響する。
デバイ方程式
誘電率と温度の関係から双極子モーメントを導出する式。液体の配向分極を統計力学的に扱う礎となった。
配向分極
電場中で双極子が整列して起こる分極現象。誘電材料の周波数応答解析などで重要な概念。
気体散乱実験
自由に回転する気体分子にビームを当て散乱を測定し、平均構造を求める手法。分子間相互作用のない純粋なデータが得られる。
分子構造
原子の結合長や結合角、配置をまとめた“設計図”。物性や生理活性を理解・予測する出発点となる。
構造化学
分子や結晶の立体的配置と性質の関係を探究する化学分野。デバイの回折研究はその土台を築いた。