1994年ノーベル化学賞
受賞理由
カルボカチオン化学への貢献
受賞者
ジョージ・オラー
アメリカ合衆国,
ハンガリー
解説
私たちが使うプラスチックやガソリンは、とても小さなつぶ(分子)でできています。オラーさんは、その分子の中で「プラスの電気を持った炭素」(カルボカチオン)という、すぐに姿を変えてしまう不思議な粒をじっくり観察できる方法を見つけました。これは落ち着きのないシャボン玉をそっとつかまえて写真を撮るようなものです。彼は特別に強い“スーパー酸”を使ってカルボカチオンをおだやかにし、性質を詳しく調べました。こうして得られた知識は、きれいな燃料や便利な新素材づくりに役立っています。
関連キーワード
カルボカチオン
正電荷を帯びた炭素中心を持つ有機イオン。多くの有機反応の中間体として不可欠だが極めて短命である。
超強酸
硫酸よりはるかに強い酸で、プロトン化能力を極端に高めた媒体。カルボカチオンの安定化や新規プロトン化反応に利用される。
マジック酸
フッ素スルホン酸と五フッ化アンチモンの混合物。室温で多くのカルボカチオンを生成・保持できる代表的な超強酸。
SN1反応
求核置換反応の一種で、まず離脱基が出てカルボカチオンが生じ、その後求核剤が反応する二段階機構をとる。
メタノール経済
オラーが提唱した、CO2と再生可能水素からメタノールを合成し燃料・化学原料として循環利用する社会モデル。
非古典的カチオン
2-ノルボルナニルイオンに代表される、正電荷が複数の原子間に分散したブリッジド構造をもつカルボカチオン。
石油クラッキング触媒
長鎖炭化水素を短鎖に分解しガソリン成分を得る工業触媒。カルボカチオン反応機構が設計指針となる。