1965年ノーベル文学賞

受賞理由

ロシアの人々の生活の歴史的な段階を表現した芸術の力と整合性に対して

受賞者

ミハイル・ショーロホフ
ミハイル・ショーロホフ

ソビエト連邦ソビエト連邦

解説

ショーロホフは、ロシアのドン川の近くで暮らす人びとの喜びや悲しみを、物語の形でわかりやすく書いた作家です。家族や友だち、戦争でおこる出来事などを、まるで映画のように生き生きと描きました。私たちはショーロホフの本を読むと、遠い国の昔の人たちも、自分たちと同じように笑ったり泣いたりしていたことがわかります。

関連キーワード

ドン川物語

ショーロホフが1928年から創作した四部構成の長編小説。ドン・コサック社会を舞台に、戦争と革命がもたらす愛と破壊を描いた代表作で、世界30以上の言語に翻訳されている。

コサック

ロシア南部やウクライナに起源を持つ自営農民兼騎馬軍事集団。独自の自治と軍事伝統があり、帝政ロシアでは国境防衛を担った。ショーロホフ作品では彼らの文化とジレンマが核心を成す。

ロシア革命

1917年に帝政を崩壊させた二月革命と十月革命を指し、ソビエト政権樹立へと至った歴史的出来事。小説中では個々の登場人物の運命を大きく揺さぶる背景として描かれる。

社会主義リアリズム

1930年代以降のソ連で公認された芸術・文学の公式様式。革命的楽観主義を掲げ、労働者階級を理想化して描くことが要件とされたが、ショーロホフはこの枠を超えた人間描写を試みた。

歴史小説

実在の歴史的事件や時代を舞台にしつつ、架空の人物や物語を織り交ぜて描く文学ジャンル。『静かなドン』はこの典型例で、読者に歴史の臨場感と登場人物への共感を同時に与える。

芸術的整合性

作家が外部の圧力や流行に迎合せず、自身の美的・倫理的基準を貫く姿勢。ショーロホフは政治検閲の下でも物語のリアリティを犠牲にしなかった点で、高い整合性を示した。

ドン・エピック四部作

『静かなドン』『渦巻きの土壌』『彼らは祖国のために戦った』など四作で構成されるショーロホフの大河作品群。コサック社会の変容を多面的に追う。

20世紀ロシア文学

革命、スターリン体制、戦後など激動の歴史の中で多様な作風が生まれたロシア語文学の時代区分。ショーロホフはこの時代を代表する作家の一人として位置づけられる。