1917年ノーベル物理学賞
受賞理由
元素の特性X線の発見
受賞者
イギリス
解説
X線は病院で骨を写すときに使われる目に見えない光です。バークラさんは、いろいろな金属にX線を当てると、それぞれの金属が“自分だけのX線の色”を返してくることを見つけました。この色は私たちには見えませんが、特別な機械で区別できます。たとえば鍵の形が鍵穴にぴったり合うように、X線の色はその金属にだけ合います。だから、この発見のおかげで科学者は物質を見分ける便利な方法を手に入れました。今では宇宙や火星の石を調べる探査機にも使われています。身の回りでは、空港の荷物検査機も同じ原理を利用しています。
関連キーワード
特性X線
電子が内殻の空席を埋める際に放出される離散的な波長のX線を指します。波長は元素の原子番号Zで決まるため、元素分析の固有の指紋として利用できます。KαやLβなど系列名で分類され、分析装置では検出器分解能を上回る鋭いピークとして現れます。これにより非破壊で材料の元素組成を調べるXRF法が成立しました。
X線分光
物質が吸収・放出するX線の波長分布を測定し、化学組成や電子状態を解析する方法です。結晶格子を回折格子として用いる波長分散型と、半導体検出器で直接エネルギーを測るエネルギー分散型があります。バークラの研究は波長分散型の起点となり、その後のX線結晶学やシンクロトロン放射光利用へ発展しました。
原子番号
元素を規定する陽子数で、周期表の並び順を決定します。バークラの特性X線データは、後にモーズリーが原子番号とX線波長の平方根が線形関係にあることを証明する際の基礎データとなりました。この関係が認められたことで、周期表の空欄元素の予測や再配置が行われ、化学と物理の結合が強まりました。
モーズリーの法則
1913年、ヘンリー・モーズリーが発見した、特性X線の周波数√νが(Z−1)に比例する経験則です。バークラの検出したK系列・L系列スペクトルがなければ、この法則の成立は困難でした。モーズリーの法則は原子モデルの整合性を裏付け、ボーア半径やスクリーン定数の概念に発展しました。
ルントゲン放射
X線は発見者ヴィルヘルム・コンラート・レントゲンにちなみルントゲン放射とも呼ばれます。バークラは一次レントゲン放射の吸収・再放出を調べ、元素固有の二次線が存在することを実証しました。この区別は散乱理論や偏光解析の道を開きました。
ブラッグ回折
結晶を用いてX線を回折させ、干渉条件から波長や結晶構造を解析する手法。バークラの時代には未発達でしたが、特性X線の波長測定技術がブラッグ親子の回折式に応用され、後の構造生物学や材料科学の基盤を築きました。