2017年ノーベル物理学賞
受賞理由
LIGO検出器および重力波の観測への決定的な貢献
受賞者
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国
解説
宇宙にはとても大きな出来事が起こると、池に石を投げた時の波のように“ゆらぎ”が広がります。このゆらぎを「重力波」といいます。レイナー・ワイスさん、バリー・バリッシュさん、キップ・ソーンさんたちは、アメリカにあるLIGOという巨大な装置で、この重力波を初めて直接とらえることに成功しました。重力波を感じ取ることは、宇宙から届く“音”を聞くようなものです。これにより、これまで見えなかったブラックホールの合体などを調べる新しい方法が生まれました。
関連キーワード
重力波
質量をもつ天体が加速することで時空に生じる波動。光速で伝播し、空間を伸び縮みさせる。検出には極めて高感度の干渉計が必要で、その振幅は地球サイズの距離で原子核より小さい。
レーザー干渉計
2本の直交した光路でレーザー光を往復させ、長さ差の変化を干渉縞のずれとして測る装置。LIGOでは腕長4 km、反射を多重化して感度を数百倍に高めている。
ブラックホール連星合体
2つのブラックホールが重力波放射で軌道エネルギーを失い、最終的に衝突・合体する現象。合体直前の数百ミリ秒に強い重力波が放出される。
一般相対性理論
1915年にアインシュタインが提唱した、重力を時空の曲がりとして記述する理論。重力波やブラックホールを予言し、LIGOの観測で強重力領域でも正しいと確認された。
マッチドフィルタリング
既知の理論波形テンプレートと観測データを相互相関させ、微弱信号を抽出する解析手法。LIGOでは数十万個のテンプレートを用いS/N比を最大化している。
信号リサイクリング
干渉計出力側に鏡を追加し、目的周波数帯の感度を高める光学的手法。Advanced LIGOでは周波数応答を最適化するために導入。
スクイージング光
量子雑音の一部を圧縮し、位相または振幅の不確定性を減少させた光。干渉計のショット雑音を抑えるため次期アップグレードで利用。
多信号天文学
電磁波、重力波、ニュートリノなど複数の観測手段を組み合わせて宇宙現象を研究する分野。重力波検出により観測対象が拡張された。
ファブリ・ペロー共振器
二枚の高反射鏡で形成された光共振器。干渉計の腕に配置して光路長を実質的に伸ばし、感度を向上させる。
地震アイソレーション
地面振動を数千万分の1まで減衰させる技術。LIGOでは多段振り子とアクティブ制御でミラーの位置安定を保つ。