1907年ノーベル生理学・医学賞

受賞理由

疾病発生における原虫類の役割に関する研究

受賞者

シャルル・ルイ・アルフォンス・ラヴラン
シャルル・ルイ・アルフォンス・ラヴラン

フランスフランス

解説

私たちのまわりには、とても小さくて目に見えない生き物がいます。その中には「原虫(げんちゅう)」と呼ばれる、一つの細胞だけで生きている生き物がいます。フランスの医師ラヴランは、兵士の血を顕微鏡で調べて、マラリアの人の赤血球の中に動く原虫を見つけました。彼は「この原虫こそが病気のもとだ」と考えました。これは、当時信じられていた「悪い空気が病気を起こす」という考えをくつがえす大発見でした。この発見のおかげで、蚊を減らしたり薬を使ったりしてマラリアを防ぐ方法が考え出されました。

関連キーワード

原虫

動物界の単細胞真核生物で、マラリア原虫やトリパノソーマなど多様な病原種を含む。運動性をもち複雑な生活環を示すことが多く、宿主や媒介ベクターを介して感染を広げる。

マラリア

Plasmodium属原虫によって引き起こされる熱帯性感染症で、周期的な発熱と貧血を特徴とする。主にハマダラカ属蚊が媒介し、世界の公衆衛生上最も重要な寄生虫疾患の一つである。

Plasmodium

マラリアの病原体となる胞子虫門の寄生性原虫属。ヒトにはP. falciparum、P. vivaxなどが感染し、赤血球を宿主細胞として生活環を営む。

寄生虫学

寄生生物と宿主との相互作用を研究する学問分野で、原虫・蠕虫・節足動物を対象とする。疾病の診断・治療から生態学的制御まで幅広い応用がある。

媒介ベクター

病原体を体内に保有し別の宿主へ運ぶ生物。マラリアではハマダラカ、トリパノソーマ症ではツェツェバエが代表例となる。

顕微鏡診断

光学顕微鏡を用いて血液や組織中の病原体を直接観察し同定する方法。ラヴランの時代から現在に至るまで寄生虫疾患のゴールドスタンダードである。

赤血球破壊

赤血球が壊れてヘモグロビンが放出される現象。マラリアの発熱周期は寄生虫による赤血球破壊と同期している。

ハマダラカ

マラリア原虫を媒介する蚊の属。雌のみが吸血し、生活圏の環境管理が防除の鍵を握る。