1951年ノーベル生理学・医学賞
受賞理由
黄熱およびその治療法に関する発見
受賞者
南アフリカ連邦
解説
黄熱病(おうねつびょう)は、蚊に刺されることでかかる熱の高い病気です。昔はアフリカや南米でたくさんの人が亡くなっていました。マックス・タイラーさんは、弱くした黄熱ウイルスを使ってワクチンを作る方法を見つけました。そのおかげで人は病気にならずに体の中で『戦う力』だけを覚えられるようになりました。今ではこのワクチンを受けると、ほとんど一生黄熱病にかからなくてすみます。タイラーさんの発見は、多くの命を守る強い盾(たて)を世界に届けたのです。
関連キーワード
黄熱ウイルス
フラビウイルス科に属する一本鎖RNAウイルス。ネッタイシマカなどの蚊が媒介し、ヒトでは高熱・黄疸・出血傾向を引き起こす。17D株と野生株ではEタンパク質などのアミノ酸配列が異なり、病原性と免疫原性の差異を生む。
弱毒生ワクチン
病原体を人工的に弱くし、生存したまま接種して免疫を誘導するワクチン。自然感染に近い免疫応答を起こすため長期防御が期待できるが、免疫不全者では注意が必要。黄熱17D株は弱毒生ワクチンの代表例として教科書に載る。
17D株
マックス・タイラーが開発した黄熱ウイルスの弱毒株。ニワトリ胚継代によって病原性を失い、現在でも世界中で使用される。単回接種で高力価の中和抗体が長期持続し、安全性も高い。
蚊媒介感染症
蚊がウイルスや寄生虫を媒介して起こる病気の総称。黄熱、デング熱、マラリアなどが代表的。気候変動や都市化により分布域が拡大しており、公衆衛生上の大きな課題となっている。
エジプトネッタイ蚊
黄熱ウイルスの主要ベクターとなる蚊の一種。人家周辺で繁殖し、昼間に吸血する性質を持つ。幼虫対策と殺虫剤散布は感染拡大防止の基本戦略。
ウイルス継代
ウイルスを連続的に別の宿主細胞や動物に感染させる操作。変異が蓄積し、毒性や宿主適応性が変化する。ワクチン開発では弱毒化手段として古くから用いられてきた。
免疫原性
抗原が生体内で免疫応答を誘導する能力。ワクチン評価では中和抗体価やT細胞活性を指標として測定する。17D株は高い免疫原性で知られ、一回接種で終生免疫をもたらすことが多い。
フラビウイルス属
黄熱、デング、ジカ、西ナイルなどを含むRNAウイルスのグループ。共通のエンベロープ構造とポリタンパク質翻訳戦略を持ち、宿主応答回避機構にも類似性がある。系統解析や交差免疫研究で重要視される。