1966年ノーベル生理学・医学賞(1)
受賞理由
腫瘍ウイルスの発見
受賞者
ペイトン・ラウス
アメリカ合衆国
解説
風邪を引き起こすウイルスのように、動物の体に入りこむウイルスがいます。ペイトン・ラウスはニワトリの腫瘍をすりつぶし、こし器で細菌を取り除いた液を作りました。その液を別のニワトリに注射すると、同じ場所にこぶ(腫瘍)ができることを発見しました。見えないほど小さなウイルスががんを起こす証拠を初めて示したのです。この発見は「がんは感染が原因で起こることもある」と世界に伝えました。
関連キーワード
腫瘍ウイルス
がん細胞を引き起こす性質をもつウイルスの総称。ヒトではHPVやEBウイルスなどが知られ、感染予防ががん対策にもなる。ラウスの研究はこの概念の出発点となった。
レトロウイルス
RNAゲノムをもつウイルスで、逆転写酵素によりDNAへ写し取り宿主ゲノムに組み込む。RSVやHIVが代表で、ゲノム統合の過程が発がんに関与する場合がある。
Rous肉腫ウイルス
ラウスが同定したニワトリ腫瘍ウイルス。v-Srcオンコジーンをもち、細胞を形質転換させるモデルとして100年以上研究されている。分子腫瘍学の礎を築いた。
c-Srcオンコジーン
正常細胞に存在するチロシンキナーゼ遺伝子 c-Src が変異によってv-Srcとなり腫瘍性を獲得する。宿主遺伝子ががん遺伝子に転換する実証例として重要。
逆転写酵素
RNAを鋳型にDNAを合成する酵素。レトロウイルス研究から発見され、分子生物学の主要ツールとなった。がんウイルス学とバイオテクノロジーを結びつける鍵分子である。