2001年ノーベル生理学・医学賞
受賞理由
細胞周期における主要な制御因子の発見
受賞者
リーランド・ハートウェル
アメリカ合衆国
ティム・ハント
イギリス
ポール・ナース
イギリス
解説
わたしたちの体を作る細胞は、時間がたつと分かれて増えていきます。この決まったリズムを「細胞のじかんわり(細胞周期)」と呼びます。ハートウェルさん、ハントさん、ナースさんは、このじかんわりを動かす大事なスイッチたちを見つけました。そのスイッチは「サイクリン」などのたんぱく質で、赤信号や青信号のように細胞に『今だよ!』と合図します。この発見のおかげで、細胞が変なタイミングで増えてしまうがんの研究が進みました。病気を早くみつけたり、治すくすりを作るヒントにもなっています。
関連キーワード
細胞周期
細胞が成長しDNAを複製し二つに分裂するまでを一周とする周期的過程。G1、S、G2、M期の四段階で構成され、それぞれが厳密な制御因子によって調節される。
サイクリン
量が周期的に増減しCDKに結合して活性化するタンパク質群。サイクリンBの分解が有糸分裂終了の引き金となるなど、タイマーとして機能する。
CDK(サイクリン依存性キナーゼ)
サイクリン結合により活性化され基質タンパク質をリン酸化するセリン/スレオニンキナーゼ。細胞周期の前進を駆動するエンジンとして働く。
チェックポイント
DNA損傷や染色体未配置などの異常を監視し、問題がある場合は周期を一時停止させる安全装置。G1/SやG2/Mなど各段階に配置される。
ユビキチン化
タンパク質にユビキチンを共有結合させ、プロテアソーム依存的分解や機能変化を誘導する翻訳後修飾。サイクリン分解に必須で細胞周期の一方向性を保証する。
モデル生物(酵母)
出芽酵母と分裂酵母は遺伝子操作が容易で細胞周期研究の主要モデルとなった。ヒトと保存された遺伝子が多く、基礎知識を医学生物学へ翻訳する橋渡しを担う。