1911年ノーベル平和賞(1)

受賞理由

国際常設仲裁裁判所の設立

受賞者

トビアス・アッセル
トビアス・アッセル

オランダオランダ

解説

むかしは国どうしがけんかをすると、すぐに戦争になってしまうことがよくありました。トビアス・アッセルさんは「話し合いの教室」を作れば平和に解決できると考えました。それが『国際常設仲裁裁判所(こくさいじょうせつちゅうさいさいばんしょ)』です。ここでは、国が先生役の裁判官に相談して、公平な意見を聞きます。こうして武器を使わずに問題を解決する道が広がりました。

関連キーワード

国際仲裁

国や企業など異なる主体が第三者に判断を委ねて紛争を解決する方法です。裁判より柔軟で、当事者が手続や裁判官を選べます。アッセルが関与したPCAは国家間仲裁の最初期の常設機関でした。今日では投資協定や商事契約にも仲裁条項が広く組み込まれています。仲裁による判断(裁定)は多くの国で強制執行が可能であり、紛争解決のグローバルなインフラになっています。

常設仲裁裁判所

1899年のハーグ平和会議で設立された世界初の多国間仲裁機関です。『常設』という名は事務局の継続性を示し、裁判官が常駐するわけではありません。加盟国は仲裁人を4名ずつ登録し、事件ごとにパネルを組みます。国際環境紛争・投資紛争・領海画定など多様な案件を扱っています。国際司法裁判所や投資仲裁機構の原型を提供した点で制度史的に重要です。

ハーグ平和会議

ロシア皇帝ニコライ2世の提唱で1899年と1907年に開催された国際会議です。主目的は軍縮と紛争の平和的処理の方法を議論することでした。ここでPCAや陸戦法規、武力使用の制限規則が採択されました。トビアス・アッセルはオランダ代表団の中心として条約草案作成に関与しました。両会議は国際人道法と国際機構発展の出発点と評価されています。

国際私法

異なる国の法律が関わる民事事件で、どの国の法律を適用するかを決める法分野です。アッセルはハーグ国際私法会議を推進し、婚姻・相続・契約などの統一ルール作りを提案しました。国際仲裁とは分野が異なりますが、越境的ルール整備という点で共通します。現在もハーグ会議は条約を通じて国際取引や家族法の問題を調整しています。こうした基礎的作業が国際的な法秩序を支えています。

平和的紛争解決

武力を用いず、交渉・調停・仲裁・司法裁判などの手段で紛争を解決する国際法上の原則です。国際連盟規約や国際連合憲章にも明文化され、現代の国際関係の土台となっています。PCAはこの原則を実務に落とし込む最初期の装置でした。アッセルの尽力で、各国は裁判を敵視せず、第三者に判断を委ねる文化を育てました。今日のICJ判決やWTOパネル報告も、同じ価値観を継承しています。

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