1937年ノーベル化学賞(1)

受賞理由

炭水化物およびビタミンCの構造研究

受賞者

ウォルター・ハース
ウォルター・ハース

イギリスイギリス

解説

お米やパンに多くふくまれる炭水化物は、体を動かすエネルギーのもとになります。ハース博士は、この炭水化物がどんな形(かたち)をしているのかを詳しく調べました。また、みかんやレモンに多いビタミンCについても、粒々がどんな順番でつながりリングのような形をしているとわかりました。形がわかると、工場で同じものを作ったり、薬にしたりできるようになります。今、わたしたちがタブレットやジュースで手軽にビタミンCをとれるのは、この発見のおかげです。食べ物の仕組みを解き明かしたことで、健康づくりに大きく役立ちました。

関連キーワード

炭水化物

生体の主要エネルギー源で、単糖が縮合してできる化合物群。構造が多様で、識別やエネルギー貯蔵、細胞間認識など多彩な生物機能を担う。ハースの解析によって輪状構造と異性の概念が確立し、糖質化学の基盤が整った。

ビタミンC

化学名アスコルビン酸。強力な還元作用を持ち、コラーゲン合成や鉄吸収を助ける必須栄養素。ハースが構造を決定したことで人工合成が実現し、サプリメントや保存料として広く利用されるようになった。

アスコルビン酸

ビタミンCの化学種で、エノールラクトン骨格を持つ。酸化型デヒドロアスコルビン酸との可逆反応で抗酸化作用を発揮。構造決定は有機合成の標的分子研究を加速させた。

ハース投影式

単糖の立体配置を平面に描くための図示法。環を横から見た投影で、上下位置によって立体配置を表す。現在も教科書や論文で広く使われる標準表記となった。

立体化学

分子内原子の三次元配置を扱う化学分野。異性体の存在が物性や生理活性を大きく左右する。ハースの研究は糖のアノマー異性を通じて立体化学の重要性を示した。

合成ビタミン

化学工業的手法で大量生産されるビタミン。天然資源に依存せず安定供給が可能となり、公衆衛生や飼料添加に貢献。ビタミンCは最初期に成功した例の一つ。

同年の他の受賞業績