1946年ノーベル化学賞(2)
受賞理由
酵素とウイルスタンパク質の結晶化
受賞者
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国
解説
科学者のノースロップさんとスタンリーさんは、酵素やウイルスのタンパク質を「きれいな結晶」にする方法を考えました。これにより、中身を詳しく調べられるようになり、ウイルスもタンパク質で出来ていることが分かりました。たとえば、胃で働くペプシンという酵素や、葉っぱに病気を起こすタバコモザイクウイルスが研究対象になりました。結晶は透明な砂糖の粒のように見え、光を当てるとキラキラします。こうして「目に見えない小さな世界」を手のひらにのせられるようになり、たくさんの研究ができるようになりました。この発見のおかげで、薬やワクチンの開発がずっと進めやすくなっています。
関連キーワード
ペプシン
胃でタンパク質を分解する酸性プロテアーゼ。ノースロップが結晶化した最初期の酵素の一つ。
トリプシン
膵臓由来の塩基性プロテアーゼ。結晶化により分子量測定と活性部位研究が進んだ。
タバコモザイクウイルス
植物にモザイク病を引き起こすRNAウイルス。スタンリーが初めて結晶化し、ウイルスが物質であることを示した。
ウイルスタンパク質
ウイルス粒子を形作り、宿主細胞への結合や遺伝子保護を担うタンパク質。純度の高い標品はワクチン研究に必須。
酵素純化
目的酵素を他の分子から分離して活性と特性を調べられる状態にする操作。結晶化は最高度の純度を示す指標となる。
クロマトグラフィー
混合物を固定相と移動相の移動速度差で分離する技術。結晶化の前後工程としてタンパク質精製で欠かせない。
X線回折
結晶にX線を当て散乱パターンを解析して分子構造を決定する方法。純粋結晶がなければ実施できない。
構造生物学
生体高分子の立体構造と機能の関係を研究する分野。結晶化技術がその発展を支えた。
免疫学
生体が病原体を認識・排除する仕組みを探る学問。ウイルスタンパク質の結晶化は抗体研究を助けた。
ウイルス学
ウイルスの構造・増殖・病原性を研究する分野。スタンリーの研究は近代ウイルス学の出発点とされる。