1951年ノーベル物理学賞
受賞理由
人工的に加速した原子核粒子による原子核変換についての先駆的研究
受賞者
イギリス
アイルランド
解説
私たちの身の回りの物質は「原子」というとても小さな粒でできています。コッククロフトさんとウォルトンさんは、原子のさらに中にある「原子核」に小さな粒(陽子)をぶつけて、別の原子につくり変える実験を成功させました。これはビー玉をパチンコ台で勢いよく飛ばして、的に当てて形を変えるようなイメージです。二人は特別な機械を使って粒をとても速くし、そのおかげで原子を初めて人の手で変えることができました。これが現代の大きな実験装置(加速器)の始まりになりました。
関連キーワード
原子核変換
ある元素の原子核が核反応によって別の元素へ変わる現象。天然には宇宙線や放射壊変で起こるが、コッククロフトとウォルトンは初めて人工的に実現した。これにより核反応エネルギーの測定や新同位体の合成が可能になった。
加速器
荷電粒子を電場や磁場で加速し、高エネルギー状態で衝突させる装置。コッククロフト=ウォルトン型は最も初期の高電圧直流加速器で、現代の大型円形・直線加速器の祖先に当たる。
コッククロフト=ウォルトン回路
ダイオードとコンデンサーを階段状に接続し、交流を整流・倍電圧して高直流電圧を得る電源回路。電気的に簡便で大電流に強く、医療用X線装置やハドロン加速器の高電圧源として今も使われる。
リチウム-7
陽子衝突実験の標的として用いられた安定同位体。7Li+p反応は二つのα粒子と17.2 MeVのエネルギーを放出し、E=mc²の実証実験として歴史的に有名。
陽子
水素原子核を構成する正電荷を帯びた粒子。コッククロフトとウォルトンは陽子を数百keVまで加速し、原子核反応のプローブとして利用した。
高電圧直流
数十万ボルト以上の電圧を持つ直流電力。加速器では荷電粒子に一度に大きなエネルギーを与えるため不可欠で、コッククロフト=ウォルトン回路によって安定供給が可能になった。