1962年ノーベル物理学賞

受賞理由

彼が確立した凝縮系物理の理論、特に液体ヘリウムについて

受賞者

レフ・ランダウ
レフ・ランダウ

ソビエト連邦ソビエト連邦

解説

液体のヘリウムをとても冷やすと、まるで魔法のように摩擦なく流れる「超流動」になります。レフ・ランダウさんは、この不思議な動きを数式で説明する方法を考え出しました。彼は液体を「二つの部分」に分けて考えれば流れ方が理解できると示しました。一つは普通の液体、もう一つは全く抵抗のない特別な液体です。この考え方で、ヘリウムが壁をのぼったり、容器の中を永遠に回り続けたりする訳がわかりました。彼の研究は未来の冷凍技術や宇宙探査にも役立っています。

関連キーワード

超流動

超流動は液体が粘性を失い、壁に沿って滑るように流れる量子現象です。温度が非常に低いときにのみ現れ、摩擦がゼロになるため容器の中で永久に流れ続けます。ヘリウム4では約2.17K以下、ヘリウム3ではもっと低温で観測されます。流れの渦は量子化され、円形リングでは流量が一定の整数個に固定されます。この現象は量子力学の巨視的表れとして、物性物理や計測技術に大きな影響を与えています。

二流体模型

二流体模型はランダウが提案した理論で、超流動体を常流体成分と超流体成分の二つに分けて扱います。常流体は粘性を持ち熱を運び、超流体は粘性ゼロでエントロピーを持ちません。温度によって両成分の割合が変化し、超流動密度は絶対零度で最大になります。モデルは第二音波や臨界速度を計算でき、実験結果とよく一致しました。この枠組みは低温物理にとって不可欠な基盤となりました。

フェルミ液体理論

フェルミ液体理論は相互作用するフェルミ粒子系を準粒子という擬似的な自由粒子で記述するランドウの理論です。準粒子は有限の寿命と有効質量を持ち、低温では長寿命になります。理論は金属の比熱や磁化率、3Heの物性を精密に説明しました。パラメータ F_l^s,a は粒子間相互作用の情報を要約し、励起の散乱振幅と直接つながります。現代の重い電子系や量子ホール液体の研究でも基本的な出発点となっています。

量子流体

量子流体とは、粒子の波動性が巨視的長さスケールまで拡がることで集団的に量子現象を示す流体です。超流動ヘリウムや極低温のボース・アインシュタイン凝縮原子気体が代表例です。これらでは渦が量子化され、巨視的コヒーレンスが実現します。量子流体研究は量子乱流、臨界現象、低次元系の相転移など幅広いトピックを包含します。技術面でも高精度慣性センサーや量子情報処理の冷却などに応用が期待されています。

ヘリウムII

ヘリウムIIは4Heがλ点(約2.17K)以下で示す超流動相の名称です。粘性がゼロとなり、毛細管を無抵抗で流れるフォン・カピラリー効果が顕著に観測されます。比熱はλ点付近で発散的なピークを持ち、二次相転移の典型例として教科書に載っています。ヘリウムIIは第二音波や量子渦など多彩な現象を示し、低温実験の媒体としても利用されます。その特性はランダウ理論によって詳細に説明され、現在でも研究の中心テーマの一つです。