1973年ノーベル物理学賞(2)

受賞理由

トンネル接合を通過する超電流の性質、特にジョセフソン効果としてよく知られる普遍的現象の理論的予測 Phys. Lett.:1(1962) 251-253 ; Adv. Phys.:14(1965) 419

受賞者

ブライアン・ジョゼフソン
ブライアン・ジョゼフソン

イギリスイギリス

解説

1. とても寒い所では、金属の中を電気が抵抗ゼロで流れる「超伝導」が起こります。2. ブライアン・ジョゼフソンさんは、超伝導体を薄い壁で区切っても電気が壁をすり抜けると予言しました。3. しかもその電流は特別にまとまっていて、電圧がなくても流れ続けます。4. これはまるで川がダムを越えて静かに流れ続けるような不思議な現象です。5. ジョゼフソン効果はとても敏感な電圧計や時間の基準として利用され、私たちの GPS や通信を助けています。6. まだ学生だったジョゼフソンさんのひらめきが、今も科学と技術を支えています。

関連キーワード

ジョセフソン効果

二つの超伝導体を極薄の絶縁体で隔てると、電圧がなくても Cooper 対がトンネルして電流が流れる現象を指す。直流と交流の二形態があり、後者は電圧が基本定数のみで周波数に変換される特性を持つ。量子干渉計 SQUID の動作原理であり、超高感度磁場計測が可能になる。電圧標準や量子ビットなど応用範囲は広い。量子力学の位相が観測可能量として現れる代表例である。

SQUID

Superconducting Quantum Interference Device の略で、ジョゼフソン接合をリング状に配置した量子干渉計。磁束量子 Φ_0 単位でループ内磁場が変調され、pT レベルの磁場を検出できる。地磁気観測、脳磁計測 MEG、暗黒物質探索などに利用される。フラックスノイズの低減が性能向上の鍵。近年は量子コンピュータの読み出し回路でも必須部品となっている。

クーパー対

超伝導状態で電子がフォノン媒介相互作用によりスピン対を組む束縛状態。ペアはボース凝縮し、マクロな量子位相を持つため抵抗ゼロの電流が流れる。トンネルや干渉を通じて位相情報が直接観測できる。外部磁場や温度によって崩壊し、臨界パラメータが超伝導体の種類を特徴づける。量子ビットでは擬粒子として制御対象になることも多い。

交流ジョセフソン関係

電圧 V を印加すると接合に生じる交流周波数 f が f = (2e/h) V で与えられる式。電圧と周波数を自然定数で結びつけるため、計量標準の基礎となる。マイクロ波照射時に現れるシャピロステップはこの関係の実験的確認。今日の電圧標準では 10⁻⁹ の相対確度で実現されている。

シャピロステップ

ジョセフソン接合に外部高周波を照射すると I-V 曲線に階段状の定電圧プラトーが現れる現象。周波数と電圧が f = (2e/h) V により固定されるため、量子干渉が可視化される。ステップの幅や出現条件は接合のキャパシタンス・抵抗・バイアス強度で変わる。高精度電圧源や量子基準の検証に利用される。非整数ステップの観測は多体効果や不均一性の診断にも役立つ。

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