1974年ノーベル物理学賞(2)

受賞理由

電波天文学における先駆的研究(パルサーの発見に果たした決定的な役割)

受賞者

アントニー・ヒューイッシュ

イギリスイギリス

解説

宇宙には“星の灯台”とも呼ばれるパルサーという天体があります。パルサーは短い間隔で規則的に電波の“ピッ、ピッ”という信号を地球へ送ってきます。アントニー・ヒューイッシュさんは学生たちと一緒に特別なアンテナを作り、この不思議な信号を初めて見つけました。この発見で、星が壊れたあとにとても小さくて重い“中性子星”が残ることがわかりました。今では宇宙の時計や地図づくりに役立っています。

関連キーワード

パルサー

パルサーは高速で自転する中性子星が発する周期的な電波・X線・ガンマ線のビームです。回転軸と磁極がずれているため、灯台の光のようにビームが空間を掃きます。地球がそのビーム方向に入るたびに規則的なパルスとして観測されます。現在までに3000個以上が知られ、ミリ秒パルサーやマグネターなど多様なクラスがあります。精密な周期は宇宙時計として利用され、重力波検出や一般相対論検証に不可欠です。

中性子星

中性子星は太陽より重い星が超新星爆発を起こした後に残る直径約20kmの超高密度天体です。主成分は中性子で、1角砂糖ほどの体積に1億トンが詰まる密度を持ちます。強い重力と磁場を持ち、表面重力は地球の約10¹¹倍です。内部では超流動や超伝導状態が存在すると考えられ、核物質状態方程式研究の現場になっています。パルサーやX線バースターとして観測されることが多く、複数連星系では重力波源にもなります。

パルス周期

パルス周期はパルサーの一回転が地球に信号として届く間隔を示します。ミリ秒パルサーでは1/1000秒以下の例もあり、原子時計に匹敵する安定度です。周期は徐々に長くなり、その変化率から回転エネルギー損失を算出できます。スパイク状の“グリッチ”が周期を突然短くする現象は内部超流動の存在を示唆します。正確な周期測定は惑星質量の連星や重力波の有無をも浮かび上がらせます。

分散測定量(DM)

分散測定量はパルサーから地球までの視線方向にある自由電子の総数を表し、単位はpc cm⁻³です。電波は周波数によって伝搬速度が異なるため、到着時刻の遅延が発生します。この遅延を解析するとDMが求まります。DMは銀河面の電子密度分布や遠方銀河における電離バリオンの量を推定する手掛かりになります。最近では高速電波バーストの起源解明にも応用されています。

灯台モデル

灯台モデルは、パルサーの規則的パルスが回転するビームの掃引によって生じるという説明です。磁軸と自転軸が一致しないため、ビームは空間を円錐状に走ります。地球がその円錐を横切るたびに信号が観測されます。モデルはパルサーのパルス幅や極化角の変化をうまく説明し、観測と整合的です。近年は三次元磁場再構成や数値シミュレーションでモデルが精密化されています。

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