1984年ノーベル物理学賞

受賞理由

弱い相互作用を媒介する場粒子であるW粒子およびZ粒子の発見を導いた巨大プロジェクトへの決定的貢献

受賞者

カルロ・ルビア
カルロ・ルビア

イタリアイタリア

シモン・ファンデルメール

オランダオランダ

解説

私たちの世界を作る物質は、とても小さな粒(つぶ)でできています。粒どうしは「力(ちから)」で引っぱり合ったり、押し合ったりします。その力には4つの種類があり、その1つが「弱い力」です。カルロ・ルビアさんとシモン・ファン・デル・メールさんは、弱い力を運ぶ「Wボソン」と「Zボソン」という特別な粒を見つける実験を成功させました。これは、虫めがねで見えないほど小さな虫を探し出すよりずっとむずかしいことでした。この発見で、私たちは物質を作る仕組みをもっと深く知ることができました。

関連キーワード

Wボソン

弱い相互作用を担う荷電ゲージボソン。質量は約80 GeV/c²で、β崩壊などでレプトンとクォークの flavor 変換を仲立ちする。

Zボソン

電荷を持たない弱中性流の媒介粒子。質量約91 GeV/c²で、ニュートリノ散乱や電子陽電子対生成などに現れる。

弱い相互作用

自然界の4つの基本力の一つ。放射性崩壊や太陽核融合で重要な役割を果たし、W・Zボソンによって媒介される。

ストキャスティック冷却

粒子ビームのエネルギー幅と空間広がりを検出信号でフィードバックしながら縮小する技術。高輝度の反陽子ビーム生成に不可欠。

電弱統一理論

グラショウ・ワインバーグ・サラム模型とも呼ばれ、弱い相互作用と電磁相互作用をSU(2)×U(1)対称性で統一する理論。W・Zボソンの存在を予言した。

CERN スーパー・プロトン・シンクロトロン

ジュネーブ近郊にある周長約7 kmの円形加速器。改造により世界初の高エネルギーp–p̄コライダーとなり、W・Z発見実験の舞台となった。

反陽子

陽子の反粒子で、電荷は負。陽子と反陽子を衝突させることで高い中心質量エネルギーを得られる。

標準模型

素粒子と相互作用を記述する現在の基本理論。電弱統一および量子色力学を含み、W・Z発見はその重要な検証となった。

粒子加速器

高エネルギーの粒子ビームを生成し、物質の基本構造を探る装置。医療や材料科学にも応用される。

UA1検出器

W・Z検出のために設計された4π多目的検出器。トラッキング、カロリメトリー、ミューオンシステムを備える。