1987年ノーベル物理学賞
受賞理由
セラミック材料における超伝導の発見という重要なブレイクスルー(Zeitschrift für Physik B 64 (1986) 189–193, Bednorz & Müller)
受賞者
西ドイツ
スイス
解説
ふつう電気が流れると、電線は少し熱くなりエネルギーが失われます。ところが「超伝導」という状態になると、電気はまったく抵抗なく流れ、熱も出しません。ベドノルツさんとミュラーさんは、陶器のお茶わんと同じような材料でできたセラミックに超伝導が起こることを発見しました。それまでの超伝導はとても冷たい温度でしか起こりませんでしたが、彼らの材料はもっと高い温度でも大丈夫でした。このおかげで、超伝導を使った電車や強い磁石の夢がぐっと近づいたのです。
関連キーワード
超伝導
物質がある温度以下で電気抵抗ゼロとなり、磁束を排除する(マイスナー効果)現象。エネルギー損失のない送電や高性能磁石の基礎技術として重要で、1911年にカメリング・オンネスが水銀で発見した。
高温超伝導
液体窒素(77 K)付近以上の温度で超伝導を示す材料群を指す。1986年の銅酸化物系の発見以降、ビスマス系や鉄系など新物質が続々報告され、ペアリング機構は依然活発に研究されている。
ペロブスカイト酸化物
ABO3 の結晶構造を持つ酸化物の総称。銅酸化物超伝導体は層状ペロブスカイトに分類され、構造歪みやドーピングで電子・磁気特性を自在に調整できる点が研究の鍵となる。
クーパー対
超伝導状態で電子が2個1組になった束縛状態。フォノンやスピンゆらぎなどの媒介相互作用により斥力を打ち消し、凝縮して電流を流れる。
臨界温度
物質が超伝導へ転移する温度。Tc が高いほど冷却コストが下がるため、エネルギー応用の鍵となる。銅酸化物の発見で Tc は 90 K 以上に到達し、液体窒素冷却が可能になった。
マイスナー効果
超伝導体が内部磁場を完全に排除する現象。これにより強い反磁性が生じ、磁気浮上や超高速ベアリングを可能にする。1933年にマイスナーとオクセンフェルトが発見。