2008年ノーベル物理学賞(2)
受賞理由
自然界においてクォークが少なくとも3世代以上存在することを予言する、対称性の破れの起源の発見(Progress of Theoretical Physics 49 (1973) 652-657)
受賞者
小林誠
日本
益川敏英
日本
解説
小さな粒(クォーク)は6種類あることが分かっています。小林誠さんと益川敏英さんは、まだ見つかっていなかったクォークがあと2種類あるはずだと計算で予言しました。その理由は、物質と反物質のふるまいが少しだけ違う“ひずみ”を説明するためです。後の実験で本当に新しいクォークが見つかり、二人の考えが正しかったことが証明されました。このおかげで宇宙に私たちが存在できる理由を考える手がかりが増えました。
関連キーワード
CKM行列
クォークの弱相互作用での混合を表す3×3ユニタリ行列。複素位相を含むことでCP対称性が破れる。行列要素はB・K中間子崩壊やトップクォーク生成で精密測定される。
CP対称性の破れ
粒子を反粒子に置き換え(C)鏡映し(P)にしても物理法則が同じでない現象。小林・益川理論はクォーク sector に固有のCP破れを定量化した。宇宙の物質優勢の鍵とされるが標準模型だけでは不足する。
ユニタリ三角形
CKM行列のユニタリ条件から導かれる複素平面上の三角形。三辺と角の測定が理論と一致するかで新物理を検証する。
Bファクトリー
巨大な電子・陽電子衝突型加速器で大量のB中間子を生成し、CP対称性の破れを精密に測定する施設。BaBarとBelleが代表例。
ウルフエンシュタイン展開
λ≈0.22を小パラメータとしCKM行列を階層的に表す近似。行列要素の物理的意味づけと計算の簡便性に優れる。
ジャルスコグ不変量
CP対称性の破れの大きさを表す基底独立な量J。3世代以上のクォークが存在しなければゼロになる。