2015年ノーベル物理学賞

受賞理由

素粒子「ニュートリノ」が質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見(Nucl. Phys. B-Proc. Suppl. 77 (1999) 123 〈Kajita〉, 43 〈McDonald〉)

受賞者

梶田隆章
梶田隆章

日本日本

アーサー・B・マクドナルド
アーサー・B・マクドナルド

カナダカナダ

解説

1. ニュートリノはとても小さくて目に見えない粒です。2. 1秒間に地球や私たちの体を何千億個も通り抜けています。3. 梶田先生とマクドナルド先生は、この粒が途中で姿を変えることを見つけました。4. 姿を変えることを「振動」と呼びます。5. 振動するためには、ニュートリノが少しだけ重さ(質量)を持っている必要があります。6. これまではニュートリノは重さゼロと考えられていました。7. 二人の発見は教科書を書き換えるほど大事でした。8. 宇宙や星のでき方を知るヒントにもなっています。

関連キーワード

ニュートリノ

1. 電気を帯びていない軽い素粒子で、弱い相互作用のみを行う。2. 電子、ミュー、タウの3フレーバーが存在する。3. 宇宙では光子に次いで数が多く、ビッグバンや星内部で大量に生成される。4. 物質とほとんど反応しないため検出が難しいが、地球内部や超新星の情報を運ぶ。5. 振動現象により質量を持つことが示され、標準模型を超える物理の手がかりとなった。

ニュートリノ振動

1. ニュートリノが飛行中に別のフレーバーへ確率的に変換する量子現象。2. 質量固有状態とフレーバー固有状態の不一致が原因。3. Δm²と混合角θで振動長と振幅が決まる。4. 実験では事象数のエネルギー・距離依存性として観測される。5. 観測はニュートリノに非ゼロ質量が必要であることを意味する。

質量固有状態

1. 粒子が確定した質量を持つ量子状態。2. ニュートリノの場合、|ν₁⟩, |ν₂⟩, |ν₃⟩が存在する。3. フレーバー状態はこれらの線形結合で表される。4. 質量差Δm²が振動周波数を決める。5. 絶対質量値は依然として測定課題である。

ミュー型ニュートリノ

1. μ⁺/μ⁻と相補的な第2世代のニュートリノ。2. 大気ニュートリノや加速器ビームで豊富に生成される。3. スーパー・カミオカンデの観測不足が振動証拠となった。4. エネルギー1〜10GeV範囲でL/E依存の欠損が顕著。5. 長基線実験T2KやNOvAでも詳細に研究されている。

タウ型ニュートリノ

1. τレプトンと対を成す第3世代ニュートリノ。2. 直接検出が難しく、振動先として理論的に重要。3. OPERA実験が初のντ出現を確認。4. スーパー・カミオカンデでは統計的にντ成分を同定。5. ντ検出はフレーバー完全性の検証に不可欠である。

太陽ニュートリノ問題

1. 1960年代から観測値が理論予測の1/3〜1/2しかなかった。2. 当初は太陽模型か検出器の誤差と考えられた。3. フレーバー変換説が提案される。4. SNOのNC/CC測定で解決し、総数は理論通りと判明。5. 問題解決はニュートリノ振動モデルを支持した。

スーパー・カミオカンデ

1. 日本岐阜県神岡鉱山地下1,000mに設置された50kトン水チェレンコフ検出器。2. 大気・太陽・加速器・超新星ニュートリノを観測。3. 1998年にμ型ニュートリノ欠損を報告し振動を示唆。4. 高感度PMTと精密水質管理が特徴。5. 現在はアップグレード版のHyper-Kamiokande計画が進行中。

サドベリー・ニュートリノ観測所

1. カナダ・オンタリオ州ニッケル鉱山地下2kmに位置。2. 1,000トンの重水を用いNC/CC/ES反応を同時測定。3. 2001年に電子型不足と全フレーバー一致を実証。4. 太陽ニュートリノ問題を決定的に解決した。5. 後継装置SNO+は0νββ探索や低エネルギーニュートリノ研究を行う。