1947年ノーベル生理学・医学賞(1)
受賞理由
グリコーゲンの触媒的分解経路の発見
受賞者
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国
解説
私たちがご飯やパンを食べると、体の中では「ブドウ糖」という小さな粒に変わります。余ったブドウ糖は「グリコーゲン」という形で肝臓や筋肉にしまわれます。カールさんとゲルティーさんのコリ夫妻は、このグリコーゲンをどうやって再びブドウ糖に戻すのかを調べました。彼らは体の中の「酵素」が順番に働いてグリコーゲンを少しずつ切り分けることを発見しました。切り分けられたかけらはエネルギーとしてすぐに使われます。このしくみがわかったことで、糖尿病などの治療のヒントが生まれました。
関連キーワード
グリコーゲン
グリコーゲンはブドウ糖がα1-4結合で連結し、8〜12残基ごとにα1-6枝分かれを持つ多糖です。肝臓では血糖維持、筋肉では瞬発的エネルギー源として働きます。分解はホスホリラーゼ、合成はグリコーゲンシンターゼが担い、ホルモンで制御されます。構造や量の異常は糖原病などの疾患を引き起こします。代謝研究はスポーツ科学や糖尿病治療の基盤です。
グリコーゲンホスホリラーゼ
グリコーゲンホスホリラーゼはグリコーゲンからブドウ糖-1-リン酸を切り出す触媒です。加水分解ではなくリン酸分解を行うためATPを消費しません。活性a型と不活性b型があり、リン酸化とアロステリック効果器で調節されます。筋、肝、脳にアイソフォームが存在し機能が異なります。阻害剤は2型糖尿病治療薬の候補です。
ブドウ糖-1-リン酸
ブドウ糖-1-リン酸はグリコーゲン分解で最初に生じる中間体です。ホスホグルコムターゼでブドウ糖-6-リン酸と可逆変換されます。リン酸基により細胞外へ漏れにくく、代謝ネットワークのハブになります。UDP-グルコース合成の前駆体としてグリコーゲン合成側にも関わります。血中にはほとんど存在せず主に細胞内で機能します。
コリ回路
コリ回路は筋肉で生じた乳酸が肝臓でブドウ糖へ再生され、再び筋肉に戻る循環経路です。筋と肝でATP消費を分担し、低酸素下でも運動を可能にします。乳酸を単なる疲労物質ではなく重要な代謝メッセンジャーとして位置づけました。スポーツ栄養や糖質コントロール指針に応用されています。コリ夫妻の酵素研究が理論的基盤です。
糖代謝
糖代謝は炭水化物を分解・合成してエネルギーや構造物質を得る反応群です。解糖系、クエン酸回路、糖新生、ペントースリン酸経路が含まれます。ホルモンや細胞エネルギー状態で厳密に調節されます。異常は糖尿病や代謝症候群につながります。理解は創薬や食品科学、運動生理学に不可欠です。
酵素
酵素は化学反応を高速化する生体触媒で、特異性と条件依存性を持ちます。コリ夫妻は酵素を精製し、代謝経路を分子レベルで解析する手法を確立しました。酵素研究は創薬やバイオテクノロジーの中心です。人工酵素や酵素改変で持続可能な化学反応が開発されています。酵素学は現代生命科学の基盤分野です。