1947年ノーベル生理学・医学賞(2)
受賞理由
脳下垂体前葉ホルモンの糖代謝における役割の発見
受賞者
アルゼンチン
解説
私たちの体は血液中の砂糖(ブドウ糖)の量をちょうどよく保っています。その調整を助けるのが「ホルモン」という体内のメッセージです。アルゼンチンのフサイさんは、脳の下にある小さな器官「脳下垂体」の前の部分が特別なホルモンを出すことに注目しました。彼は動物実験で、このホルモンがあると血糖値が上がり、ないと下がることを示しました。つまり脳が体のエネルギーをコントロールするスイッチを持っていることを明らかにしたのです。この発見は糖尿病や成長に関わる病気を理解する手がかりになりました。
関連キーワード
脳下垂体前葉
脳下垂体前葉は成長ホルモン、ACTH、TSHなど多数のホルモンを分泌する内分泌器官です。視床下部からの刺激で活性化され、遠隔組織に化学メッセージを送ります。これらのホルモンは成長、代謝、ストレス応答、生殖を調節します。障害は低身長症やクッシング病などの原因になります。糖代謝では成長ホルモンがインスリン作用を抑制し血糖を上げる役割を担います。
成長ホルモン
成長ホルモン(GH)は骨や筋肉の成長を促すペプチドホルモンです。脂肪細胞のリパーゼ活性を高め遊離脂肪酸を増やします。脂質動員により筋と肝で糖利用が抑えられ血糖が上昇します。過剰はアクロメガリー、欠乏は小人症を引き起こします。運動や睡眠、低血糖がGH分泌を刺激します。
内分泌系
内分泌系はホルモンを介して遠隔組織を調節するネットワークです。主要腺には下垂体、甲状腺、副腎、膵臓、生殖腺があります。ホルモンは血流で移動し標的細胞受容体に結合して作用します。神経系と連携し恒常性維持やストレス応答を担います。バランスが崩れると糖尿病や肥満など多くの疾患を招きます。
インスリン抵抗性
インスリン抵抗性は通常量のインスリンがあっても組織が十分反応しない状態です。血糖が細胞に取り込まれにくく高血糖と高インスリン血症が併発します。成長ホルモンや副腎皮質ホルモンの過剰は抵抗性を悪化させます。慢性化すると2型糖尿病や動脈硬化を引き起こします。運動や体重管理が改善に効果的です。
糖新生
糖新生は肝臓や腎臓で乳酸やアミノ酸からブドウ糖を合成する経路です。絶食や長時間運動時に血糖を維持します。成長ホルモンやグルココルチコイドが経路活性を高めます。インスリンは逆に糖新生を抑制します。調節異常は高血糖や低血糖の原因になります。
血糖恒常性
血糖恒常性は血液中のブドウ糖濃度を一定に保つ仕組みです。主にインスリンとグルカゴンの拮抗で維持されます。成長ホルモンやアドレナリンも調節に関与します。短期調整はホルモン分泌、長期調整は酵素発現変動で行われます。糖尿病はこの恒常性が破綻した状態です。