1949年ノーベル生理学・医学賞(2)
受賞理由
ある種の精神病に対する前額部大脳神経切断の治癒的価値の発見
受賞者
アントニオ・エガス・モニス
ポルトガル
解説
むかしは、重い心の病気で苦しむ人を助ける薬がほとんどありませんでした。モニス博士は、脳の前の部分(おでこの裏側)にある神経のつながりを切ると、症状が軽くなることを見つけました。これは大きな手術でしたが、当時は他に治療法がなかったため、多くの患者さんに希望を与えました。のちに副作用が大きいことも分かり、現在はほとんど行われていません。それでも、脳と心の関係を研究する出発点となった重要な発見でした。
関連キーワード
精神外科
外科的手技によって精神症状の改善を目指す医療分野。ロイコトミーはその先駆的手法であり、現在の深部脳刺激や定位放射線手術の原点とされる。
前額葉白質切截術
前頭葉皮質下の白質線維を切断し、感情や思考回路の遮断を図る手術。モニスが考案し、1930–40年代に世界的に実施された。
精神病
幻覚や妄想など現実との接点が失われる重い精神障害の総称。ロイコトミーは薬物療法が無かった時代に救済策として試みられた。
神経回路
脳内で情報を伝達するニューロンの連絡網。切断により症状が変化する事実は、精神機能が物理的回路に依存することを示した。
倫理問題
回復不能な後遺症や同意能力の乏しい患者への実施など、多くの倫理的課題を生んだ。医療研究の倫理審査制度構築の原動力となった。