1963年ノーベル物理学賞(2)

受賞理由

原子核の殻構造に関する発見

受賞者

マリア・ゲッパート=メイヤー
マリア・ゲッパート=メイヤー

アメリカ合衆国アメリカ合衆国

ヨハネス・ハンス・イェンゼン
ヨハネス・ハンス・イェンゼン

西ドイツ西ドイツ

解説

原子核はとても小さな『玉ねぎ』のように、いくつもの層に分かれていることが分かりました。ゲッパート=メイヤーさんとイェンゼンさんは、その層を『殻(シェル)』と呼びました。特定の層が満杯になると、核はとても安定になります。これは、学校で習う電子の殻と似ています。どうして金や鉄が安定して存在できるかを説明する大切な手がかりになりました。

関連キーワード

シェルモデル

核子が平均ポテンシャル中で独立に運動すると仮定する理論。軌道ごとのエネルギーレベルが電子殻と類似の階層を作る。魔法数の説明、スピン–軌道結合の重要性、ペアリング相互作用への拡張などが特徴。実験で観測される励起スペクトルの多くを再現する。現代の核構造計算で最も広く使われる枠組み。

魔法数

閉殻となり核が特に安定になる陽子数または中性子数。2、8、20、28、50、82、126などが代表例。シェルモデルにより理論的に導出され、核の存在限界や超重元素合成を予測する指標となる。

スピン–軌道相互作用

核子の固有スピンと軌道運動量が結合する効果。強いスピン–軌道項を入れることでシェル構造が実験値と一致した。原子物理の微細構造やトポロジカル材料でも類似の機構が現れる。選択則や遷移確率の決定要因となる。

平均場近似

多体相互作用を1体ポテンシャルに置き換え、計算を簡素化する方法。シェルモデルやハートリー・フォック、密度汎関数法の基礎となる。近似の精度は残余相互作用やペアリング項で改善される。多体電子系や量子ドットにも応用される。

Woods–Saxonポテンシャル

原子核外縁の拡散を表現する実験的ポテンシャル形。シェルモデル計算で用いると束縛状態と連続状態のエネルギーを適切に分離できる。重い核や変形核で特に有効。

Pauli排他原理

フェルミ粒子である核子は同じ量子状態を共有できないという原理。シェルに入る核子数を2j+1個に制限し、魔法数生成の要因となる。電子殻構造や金属の導電性にも影響する。

Nilsson図

原子核が変形したときのエネルギー準位の動きを示す図。スピン–軌道結合と変形パラメータによるレベル交差を視覚化する。シェル構造と回転帯の関係を解析する道具。

ペアリング相互作用

同種の核子がクーパー対のように結合しエネルギーを下げる効果。シェルモデルに取り入れると偶奇効果や超流動性が説明できる。原子核の質量公式やβ崩壊半減期に寄与する。

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