1978年ノーベル物理学賞(1)

受賞理由

低温物理学における基礎的発明および諸発見

受賞者

ピョートル・カピッツァ
ピョートル・カピッツァ

ソビエト連邦ソビエト連邦

解説

とても冷たい世界では、物質のふるまいが普段とまるで変わります。カピッツァさんは、ヘリウムという気体をマイナス269℃まで冷やして液体にし、その中で起こる不思議な現象を見つけました。液体ヘリウムは摩擦がほとんどなくなり、壁をよじ登って容器の外へ流れ出すことがあります。これは“超流動”と呼ばれる特殊な状態です。この発見は、氷や水とは違う新しい物質の姿を私たちに教えてくれました。

関連キーワード

超流動

粘性がほぼゼロとなり、毛細管や壁面を抵抗なく流れ続ける液体の量子状態。渦が量子化され、臨界速度を超えると量子乱流へ遷移する。カピッツァは1937年にヘリウム IIで初めて観測した。

液体ヘリウム

4 K以下で気体ヘリウムが凝縮した無色無臭の液体。4Heでは2.17 Kで超流動転移、3Heではミリケルビン領域で対凝縮転移が起こる。極低温冷却材としてMRIや粒子検出器に使用される。

カピッツァ抵抗

金属固体と液体ヘリウムの界面に現れる熱境界抵抗。温度が低いほどT⁻³で増大し、冷却系のボトルネックになる。音響不整合に基づく理論モデルで説明される。

希釈冷凍機

3Heと4Heの混合物を利用して10 mK以下を実現する冷凍機。カピッツァの循環冷却技術と熱交換概念が基礎となり、量子ビットやボロメータの冷却に用いられる。

高磁場低温技術

ビターフ型電磁石などで発生させた強磁場を液体ヘリウムで冷却しながら実験する技術。超伝導転移や量子ホール効果の精密測定を可能にする。

同年の他の受賞業績