1981年ノーベル物理学賞(1)
受賞理由
レーザー分光学への貢献(Phys. Rev. 104 (1956) 324-327,Phys. Rev. 127 (1962) 1918-1939)
受賞者
ニコラス・ブルームバーゲン
アメリカ合衆国
アーサー・ショーロー
アメリカ合衆国
解説
わたしたちのまわりにある物質は、それぞれ独特の光の“指紋”を持っています。レーザーという、とても細くて強い光を当てると、その指紋をくっきり読み取ることができます。ブルームバーゲンさんとショーローさんは、このレーザーの光で指紋を調べる方法を改良しました。この方法を「レーザー分光」と呼びます。レーザー分光のおかげで、空気の中のほんの少しのガスや遠い星の成分まで調べられるようになりました。医療や環境調査にも役立つ、光の虫めがねのような技術です。
関連キーワード
レーザー
誘導放出で生み出されるコヒーレント光源。きわめて細いビームと高い強度を持ち、精密分光に最適。
分光法
物質と光の相互作用を調べて組成や構造を解析する方法。レーザーを用いると従来よりはるかに高い分解能が得られる。
非線形光学
強い光が媒質の屈折率を変化させる現象を扱う分野。周波数変換や光パラメトリック発振器はレーザー分光の波長可変化に不可欠。
飽和吸収分光
2本の逆向きレーザービームでドップラー拡がりを打ち消し、極めて鋭い吸収線を得る手法。原子時計の基準周波数生成に用いられる。
ドップラー拡がり
熱運動による原子・分子の速度分布がスペクトル線を広げる現象。高精度測定では除去・補正が必須となる。
周波数安定化
レーザー発振周波数の時間変動を基準共振器や原子遷移にロックして抑える技術。10^-12以上の安定度が現代計量で要求される。
ラマン散乱
光が分子の振動エネルギーとやり取りして波長が変わる散乱現象。分子構造や結合状態の詳細情報が得られる。