2000年ノーベル物理学賞(1)

受賞理由

情報通信技術における基礎研究(高速エレクトロニクスおよび光エレクトロニクスに利用される半導体ヘテロ構造の開発)

受賞者

ジョレス・アルフョーロフ
ジョレス・アルフョーロフ

ロシア連邦ロシア連邦

ハーバート・クレーマー
ハーバート・クレーマー

ドイツドイツ

解説

携帯電話やCDプレーヤーの中には、とても小さな光や電気の部品があります。アルフョーロフさんとクレーマーさんは、その部品をもっと速く、明るくするために『ヘテロ構造』というサンドイッチみたいな半導体を考え出しました。パンのかわりにガリウムヒ素などの薄い層を重ねることで、電子がすべりやすい道を作り出し、少ない電気で強い光を出せるようになりました。だから私たちは遠く離れた人と電話できたり、光ファイバーでインターネットが速くなったりします。このアイデアは信号機のLEDや車のブレーキランプにも使われています。

関連キーワード

半導体ヘテロ構造

異なる半導体材料を原子レベルで積層し、バンドギャップや格子整合性の差を利用して電子と光の流れを制御する構造。高速トランジスタ、レーザダイオード、量子井戸デバイスなどの基盤技術である。

バンドギャップ

価電子帯と伝導帯のエネルギー差で、材料が導体か半導体か絶縁体かを決める指標。ヘテロ構造では層ごとにバンドギャップを変えることでキャリアや光子を閉じ込める。

ガリウムヒ素

GaAsは直接遷移型の化合物半導体で、電子移動度が高く高周波トランジスタや光デバイスに適する。AlGaAsとの組み合わせで低欠陥界面を作りやすい。

ヘテロ接合バイポーラトランジスタ

異種半導体界面を用いてエミッタ障壁を制御し、高速かつ高利得を実現したバイポーラトランジスタ。携帯基地局や衛星通信のマイクロ波増幅器に不可欠。

半導体レーザ

電流注入で光を発生させるレーザダイオード。ヘテロ構造により低しきい電流で室温連続発振が可能となり、光ファイバー通信と光ディスク技術を支える。

量子井戸

数ナノメートル厚の狭いバンドギャップ層にキャリアを閉じ込めた低次元構造。発光波長の精密制御や新しい量子輸送現象の観測に使われる。

高速電子デバイス

ギガヘルツからテラヘルツ帯で動作するトランジスタや整流器の総称。ヘテロ構造による高移動度と短遅延が鍵になる。

光ファイバー通信

ガラス繊維中を光で情報伝送する技術。ヘテロ構造レーザと高速受光素子によって大容量かつ低損失の長距離通信が可能になった。

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