2005年ノーベル物理学賞(1)

受賞理由

光学コヒーレンスの量子論への貢献。Phys. Rev. Lett. 10(1963) 84-86、Phys. Rev. 130(1963) 2529-2539、Phys. Rev. 131(1963) 2766-2788 に代表される一連の論文で、光を粒子としても波としても整合的に扱う理論を確立した。

受賞者

ロイ・グラウバー
ロイ・グラウバー

アメリカ合衆国アメリカ合衆国

解説

私たちが見る光は、電球の光やレーザーの光などいろいろあります。グラウバー博士は、光がひと粒ひと粒の「光の粒(フォトン)」でできていることと、波のように広がることの両方を説明する方法を考えました。これにより、星や信号機などの光をもっと正確に調べられるようになりました。レーザーを使ったDVD やスマートフォンのカメラがはっきり写るのも、この研究が役立っています。光の不思議を解くカギをくれたのがグラウバー博士なのです。

関連キーワード

量子光学

電磁場を量子として扱い、光子自体の統計性や相関を研究する分野。レーザー冷却、量子通信、量子コンピューティングなどの基盤技術を提供する。グラウバーの理論が端緒となり、今日では真空場制御やスピン光相互作用まで対象が拡大している。

光学コヒーレンス

光が波として示す位相揃いの度合いを示す概念。一次コヒーレンスは干渉縞の明瞭さ、二次コヒーレンスは光子統計に現れる。レーザーは高いコヒーレンスを持つが、白熱球は低い。量子通信ではコヒーレンス保持が鍵となる。

フォトンバンチング

熱光などで光子が時間的にまとまって検出されやすい現象。g^{(2)}(0)>1 が定量指標。HBT実験で初観測され、グラウバー理論で説明された。天文学の恒星角径測定にも応用例がある。

フォトンアンチバンチング

一度に二つ以上の光子が検出されにくい、非古典光に特徴的な現象。g^{(2)}(0)<1 で表され、単一光子源の品質指標となる。量子暗号や量子センシングで重要。

ハンブリー・ブラウン=トゥイス効果

二台の検出器の相関から光源サイズを推定する現象。古典波としても量子光としても説明できるが、量子論ではフォトン統計が鍵となる。天体観測だけでなく量子イメージングにも利用される。

光子検出理論

光子が物質に吸収され電子が放出される過程を量子演算子で記述する理論体系。ノーマルオーダリングや相関関数が導入される。センサーの限界雑音を決める基本理論でもある。

量子エレクトロダイナミクス

電磁相互作用を量子力学と特殊相対論で統一した場の理論。真空偏極や異常磁気能率などを高精度で予言する。グラウバーの光検出理論はQEDを可視光領域に応用した先駆例である。

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