2005年ノーベル物理学賞(2)

受賞理由

光周波数コム技術を含む、レーザーに基づく精密分光法の開発への貢献。Science 288(2000) 635-639、Rev. Sci. Instrum. 72(2001) 3749-3771、Phys. Rev. Lett. 87(2001) 270801 ほかの論文により、可視域から赤外域までの光周波数を絶対基準に結び付けた。

受賞者

ジョン・ホール
ジョン・ホール

アメリカ合衆国アメリカ合衆国

テオドール・ヘンシュ
テオドール・ヘンシュ

ドイツドイツ

解説

時間をはかる時計やものさしは、とても正確であればあるほど役に立ちます。ホール博士とヘンシュ博士は、レーザーの光を“くし”のように並べて、一つ一つの光の色(周波数)を数字で数えられる技術を作りました。このおかげで地球から宇宙まで、場所をピタリと知るGPSや、もっと正確な時計が作れるようになりました。

関連キーワード

光周波数コム

レーザーのモードロックにより生成される、等間隔で並んだ数十万本の鋭いスペクトル線。間隔は反復周波数 f_r、全体のずれは f_0 で記述され、電波時計とリンクさせることで光の周波数を直接数える“光のものさし”となる。

精密分光法

原子や分子のエネルギー準位差を極めて高い分解能で測定する技術。光コムの導入により、ピコメートル以下の線幅差も定量化可能になり、基礎定数の検証や新物理探索に用いられる。

モードロックレーザー

多数の縦モードを位相固定し、フェムト秒~ピコ秒の超短パルス列を出力するレーザー。時間領域で短いパルス、周波数領域でコム構造を示す。周波数安定化により精密計測用光源として広く使われる。

フェムト秒パルス

10^-15 秒程度の極短光パルス。化学反応の過程観測や超高速電子制御、XUV 高調波発生などの応用がある。パルス列の周波数表現が光コムとなる。

光時計

可視光や近赤外の原子遷移を基準にした時計。マイクロ波より高い周波数を利用するため、理論的に 10^{-18} 以上の相対精度が可能。光コムが周波数変換の架け橋となる。

フォトニック結晶ファイバー

微細な空気孔を持つ光ファイバー。異常分散制御と高い非線形性により、超広帯域スーパーコンティニュームやオクターブ広スペクトルを生成し、f_0 測定に不可欠。

ドップラー効果除去

気体原子の熱運動による線幅拡大を相互キャンセルで抑える手法。飽和分光や二光子分光が代表例で、光コムと組み合わせると 1 kHz 未満の分解能が得られる。

長さの再定義

1983 年に“光が真空中を 1/299,792,458 秒で進む距離”と定義され、光速が固定値となった。周波数コムは光速=周波数×波長の式により、波長標準を高精度で実現する実用手段を提供した。

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